2007年07月30日

田中ユタカ『ミミア姫』1巻

 光の羽根を持ち、念話で互いの心を繋げるなどの「ちから」を持った人々が暮らす雲の都。
 その中に何の「ちから」も持たず、小さくか弱い異質な存在として生まれたミミア。
 念話によって高度なコミュニケーションを築き、運命さえも予知している人々の中でただ一人だけその未来が全く分からない彼女は、人々の原初の姿を持った「神さまの子」として育てられる。
 そんなミミアの物語を綴るファンタジー。

 小さくか弱い存在の彼女に対して、あらん限りの愛情を注ぐ両親と、雲の都の人々。その無私の愛情・生命への賛歌とでも言うべきものの描写の真摯さに、この作品で描こうとするものへの著者の本気を感じます。

 天国とも称される雲の都の文化や風俗の描写もしっかりとした設定に基づいて描かれている感が強く伝わってきて、そこで展開する物語に説得力を与えております。

 この1巻で語られるのはミミアが11歳の誕生日を迎えるまでの話で、様々に複線が示されてはいるもののまだ物語が動き出す前の序幕といった感じ。
 ここからどのような運命がミミアを待つのか、非常に興味がそそられます。
 田中ユタカの本気の物語がここに。

ミミア姫 1 (1) (アフタヌーンKC)ミミア姫 1 (1) (アフタヌーンKC)
田中 ユタカ

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2007年07月28日

ぼっしぃ『水着彼女』

 同人でも活躍中の著者の「快楽天」掲載作品を収録した商業誌初単行本。

 タイトル通り白スケ水着や競泳水着のしっとりぴっちりとした質感が非常にエロスを感じさせる一冊。
 完全に脱がさないでずらしてのプレイが多いのも非常にポイント高い感じであります。

 全部が水着、というわけでもなく、下着だったり、裸ワイシャツだったり、黒ストッキング破りだったり、鎖帷子だったりと、バラエティに富んだシチュエーションを収録。

 白スケ水着がエロティックなカラー作品「白い誘惑」
 競泳水着での野外プレイを描いたカラー作品「サマージャンボみずほ!」
 上記作品とキャラを同じくする競泳水着モノ「みずほエクササイズ」
 貧乳娘と巨乳娘のダブルプレイ「1+1彼女」
 ドジっ娘お姉さんとのラブラブエロス「明かりのトラブル」「お水のトラブル」
 お風呂プレイの「あらいっこ」
 何も知らない初心な娘を変態お嬢様が手ほどきする「可憐な手ほどき」
 眼鏡をかけると積極的になる女の子を描いた「ときめきバージョンアップ」
 奥手な幼なじみを寝たふりして誘惑「ましゅまろモーニング」
 実験室で黒スト白衣娘と試験管プレイな「放課後」
 くのいち輪姦モノの「堕忍〜隠蜜くノ一淫辱絵巻〜」
 書き下ろし「水着彼女〜みずほ時空を越えて〜」

 以上の13編を収録。
 お話としては普段おどおどしているけれど、眼鏡をかけると積極的になる女の子がプレイ中に眼鏡が外れちゃって、という「ときめきバージョンアップ」が性格的にも、ビジュアル的にも一粒で二度おいしい感があって良かったなあ、と。

 同人ではふたなりや触手モノが多い印象の作者ですが、この単行本ではそれらの要素は一切なし。基本的にはラブい展開が多い間口の広いシチュエーションなので、そちら方面を求めて購入すると物足りないかもしれません。

 競泳水の背中にエロスを感じる私としては大変に満足の一冊でありました。
 表紙の水着姿にグッと来るような人はそのまま買ってしまって損無しかと。
 カラーページが沢山あるのも嬉しい限り。

 カバーを外すと別バージョンのカラー絵が。

水着彼女 (WANI MAGAZINE COMICS SPECIAL)水着彼女 (WANI MAGAZINE COMICS SPECIAL)
ぼっしぃ

ワニマガジン社 2007-07-28
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2007年07月26日

あらゐけいいち『日常』1巻

 うーん、何とも形容しがたい、しかし実に味のあるギャグマンガであります。

 女子学生達の日常を描いておりますが、その日常がなんともシュール。
 背中にゼンマイネジのついたロボ女子高生や、天から降ってくるコケシ、校内で鹿と格闘する校長。
 そんなシュールな日常の中で次々と繰り出されるギャグの数々。テンポのよいボケとツッコミ(セルフツッコミ含む)が大変に楽しい。
 いや、ツッコミって言って良いのかしらこれは。
 明後日の方向にすっ飛んでいく状況に対する、バリエーションに富んだ反応にいちいち吹き出さずにはおれません。ゆっこの顔芸とか。
 そして繰り返しはギャグの基本。
 テンポ良く繰り出されるギャグの間に突如挟まれる静寂。この間も絶妙。

 可愛らしくも脱力感溢れる絵柄がまた実に良い味を出しております。この絵柄と独特の間が醸し出す不思議な魅力。
 言葉を尽くして説明しようとするほどに、何だかこの作品の面白さから外れていってしまいそうなもどかしさ。
 ちょっと他に類のない楽しさが詰まった一作であります。とにかく一読してこの面白さを確かめていただきたい!!

日常 1 (1) (角川コミックス・エース 181-1)日常 1 (1) (角川コミックス・エース 181-1)
あらゐ けいいち

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2007年07月25日

かかし朝浩『暴れん坊少納言』

 清少納言はツンデレ少女だった! というありそうでなかった設定が妙に新鮮。

 アクティブで破天荒な清少納言と情趣に疎い無骨な橘則光(少納言の夫)の掛け合いを中心に、少納言の主である中宮定子や、和泉式部、藤原豊子などの中宮サロンの人物、そして同世代の好敵手としての紫式部などが登場する平安ラブコメ。

 『ロングロングウェイホーム』『ファニーフェイス』など一癖ある作品の印象が強いかかし朝浩ですが、今作は衒い無くラブコメの王道を行っております。
 
 『枕草子』に見られる少納言の感性や、史実・時代設定といった現実の要素を生かしつつ、少納言や則光のキャラクターの以外に、和泉式部が自堕落系のお色気姉ちゃんだったり、豊子が意地悪な先輩キャラだったりと、現代風のアレンジが。多少の事実の改変がありますが、そこら辺は描く方も読む方も織り込み済みということで。

 清少納言が紫式部の『源氏物語』に触発されて小説を書き始めたものの、できあがったのはヘテロクロミアの美剣士が主人公で――といった痛々しい設定満載の小説だったりするのも楽しい。

 破天荒だけれども感受性が強くて一本芯が通った性格の清少納言のキャラクターが、堅物な則光との対比も鮮やかに実に活き活きと描かれていており、読んでいて気持ちの良い作品。

 この1巻でひとまず完結となっておりますが、「コミックガム」では続編の連載も決まっており、そちらも楽しみであります。

暴れん坊少納言1 (ガムコミックスプラス)暴れん坊少納言1 (ガムコミックスプラス)
かかし朝浩

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2007年07月23日

田丸浩史『ラブやん』8巻

 29歳、ロリ・オタ・プーの三重苦。
 世の中にはカズフサの生き方を外側から笑える人間と、親近感を感じながら自虐的に笑える人間と二種類に分かれると聞きますが、さて皆さんはいかがでしょうか。僕ぁ後者です。

 というわけで、早いものでもう8巻目。連載当初は30歳までまだまだ余裕があったカズフサもいつの間にやら三十路目前待ったなし。そんな17歳と144ヶ月の青年と、ともに堕落した愛の天使ラブやんが送るニートな生活。

 インフルエンザのラブやんを介抱してラブが芽生えかけたりそれを毟り取ったり、実家で爺さんに立派な姿(虚像)を見せつけてみたり、新キャラ小悪魔っ娘・アンジュが登場したり、ちんこをエクステンドしてひとつ上の男を志してみたりと、バラエティ豊かなダメ人間の生き様を見せつけてくれます。

 が。

 カズフサといい感じになったりならなかったりの幼なじみ庵子が、この9巻のラストでついに結婚!

 ――会社の後輩と。

 カズフサと庵子、結構いい感じだったのに!
 なんだかんだ言ってもショックを隠しきれないカズフサ。この作品でこんなビターな話になろうとは……。
 ぐるぐると同じところを回り続けて進まないダメ人間の日々。しかしその変わらぬ円環からは少しづつ失われていくものもあるのでした。

 9巻が出る頃にはきっと三十路に突入しているであろうカズフサの明日はどっちだ!
 ……いや、まったく他人事ではありません。

ラブやん 8 (8)ラブやん 8 (8)
田丸 浩史

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「チャンピオンRED」07年9月号

 今月号は「エルカザド」1話コメンタリーVerや「シグルイ」「BLUE DROP」特報映像を納めたDVDが付録。

作品ごとの感想
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2007年07月21日

大和田秀樹『ドスペラード』

 問題作揃いの「チャンピオンRED」掲載作品の中でも一際インパクトの強かったあの問題作がついに単行本化。

 魔法使いギルド・聖竜会の親分の暗殺、それに伴って開始される聖竜会系VS鳳凰会系の血で血を洗う抗争。
 そこに帰ってきた伝説の男・エイジ。
 彼は地水火風の四大元素のどれにも属さない「萌え」の元素を使いこなす魔法使いだったのだ――。

 「三十歳まで童貞だと魔法が使える」伝説を使って、思いきり暴走・迷走する異形の萌え漫画。
 魔法使いギルド=極道の図式で展開する仁義なき戦いから、いつの間にか萌えと童貞を巡る物語に大転換。萌えコスプレをしたオッサン達が画面に満ちる大変ステキな絵面が展開されていきます。
 最初は渋いオッサンが萌え魔法発動によりメイド姿になってしまって恥じらう、というギャグから次第にスライドして、実はエイジは童貞だった! という設定が語られ童貞のトラウマをいじくる物語に。大変に下らない(褒め言葉)設定でステキです。

 そして試練を超えて「萌え」の神髄をつかみ、童貞の中の童貞「最終童貞(ファイナルファンタジー)」として降臨したエイジ。彼の語る萌えの元に全ての童貞達が集う!

「萌えは童貞(ゆめ)を裏切ってはならない 童貞もまた萌えを裏切ってはならない」

「お前の心のおちんちんは まだつるつるのぴかぴかじゃないか」

 など、心震える(?)名言が。

 圧倒的な萌えを駆使する最終童貞・エイジに対して発動する最終兵器。その名は「彼女」。天敵とも言えるその「彼女」に対して最終童貞はどう戦うのか。

 そして――驚愕の最終回。全ては因果地平の彼方へ。
 この凄まじい最終回は是非その目で確かめていただきたい。
 怒ってはいけません。
 この物語を受け入れられた人なら大笑いして受け入れられるハズだ!

 という感じで全編馬鹿らしさ溢れる作品。
 色々と遊び心というか、やり過ぎ感溢れております。
 FFっぽい表紙デザインなども大変に危険でステキ。
 帯の「カイン立ち」をしているエイジに大笑い。
 色々と笑って許して読める方限定で大変にオススメであります。
 個人的にはこういう馬鹿らしさには惜しみない拍手を送りたい。

 とにかく、今年一番の怪作と言っても過言ではありますまい。

ドスペラードドスペラード
大和田 秀樹

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2007年07月20日

やまむらはじめ『神様ドォルズ』1巻

 表紙の色遣いが今までのやまむらはじめ作品とだいぶ異なっていたので売り場でちょっと見つけるのに時間がかかりました。なんか普通に恋愛モノでも始まりそうな感じの表紙であります。

 が、その作品の中身は、ロボットのような格好をした「案山子」と呼ばれる神の抜け殻を操ることができる能力者「隻」達のバトルありの物語。や、恋愛要素もありますが。

 隻の資格を捨て、村から出て東京で生活することになった青年・匡平。
 案山子「玖吼理(ククリ)」を操り、彼を追って上京してきた隻の少女・詩緒。
 そして、村から抜け出し案山子「暗密刀(クラミツハ)」の力を使って殺人を繰り返す阿幾。

 この三人の因縁と、案山子と隻、それらの根源であり三人出身地でもある「村」の秘密を軸に物語は展開していきます。
 今は普通の人間として暮らしているものの、かつて隻だった経歴を持つ匡平。その彼を「そんなのは本当のお前じゃない」と挑発する阿幾。その二人の上に密かに、しかし大きな影響力を及ぼす村の存在。色々と気になる設定が見え隠れしております。

 同時に、匡平と彼が憧れる女性・日々乃、そして匡平を兄と呼ぶ詩緒の三角関係が展開。
 色々な意味で不器用なんだけれども、その不器用さの中に子供らしい素直さが見え隠れする詩緒が大変に可愛らしい。日々乃と匡平の関係に嫉妬してみせたり、ゲームと一緒に体が動いちゃったり。感情表現が下手で、でも匡平を一途に慕っていたり、おなかが鳴って赤面してしまったりときちんと女の子している詩緒。表情と反応がいちいち可愛らしくてたまりません。
 日々乃のお姉さんっぷり、こちらもまたなかなか。
 それぞれ別の方向から事件を追っている空張刑事と部長の親子なども頓狂なキャラクターで楽しいです。
 総じて、キャラの魅力が高い印象。

 可愛らしい詩緒の反応を見ているだけでも大変心和むものがありますが、物語としても、神の名をいただく案山子とはそもそも何なのか、阿幾と匡平の過去に何があったのかなど興味深い複線が多々張られております。
 この先の展開が気になるオススメの一作。
 詩緒のかわいらしさにやられちゃったら更にオススメの一作。

神様ドォルズ 1 (1)神様ドォルズ 1 (1)
やまむら はじめ

小学館 2007-07-19
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2007年07月17日

土山しげる『喰いしん坊!』14巻

 喰いワングランプリ決勝ラウンド第4戦は、TFF最強の男ハンター錠二VSOKFFに寝返った麺喰いの鳥飼。
 対決に使用する食材はかつて一度だけ鳥飼が錠二を破ったことがある素麺!

 というわけで14巻は全編錠二VS鳥飼の素麺勝負。
 炸裂する鳥飼の「鵜喰い」に対し、錠二は伝家の宝刀「二丁喰い」を繰り出す。
 ズボンの縫い目には常に一膳づつ箸を仕込んであるとか大変に馬鹿らしくて素晴らしい。

 そして錠二に憧れながらその打倒を目指す鳥飼の過去が語られます。
 引きこもりだった鳥飼を目覚めさせた錠二との出会い、そして勝負。
 大食いに目覚める引きこもり、というのもすごいですが、一人の男の自立の物語としてきちんとしているのもまたすごい。ここら辺の妙な味わいと説得力がこの作品の肝であることだなあ。

 そして限界を迎えたかに見えた鳥飼のとっておきの手「通天閣喰い」。
 一度止まった箸が再び動き出し「通天閣から不死鳥が蘇ったァア〜〜!」というアナウンスも、そして通天閣をバックに飛翔する鳳凰という絵面も大変に素晴らしい。
 そして拮抗する勝負も熱い熱い。

 毎回毎回、本当に楽しませてくれる作品であります。

喰いしん坊! 14巻 (14) (ニチブンコミックス)喰いしん坊! 14巻 (14) (ニチブンコミックス)
土山 しげる

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2007年07月15日

カトウハルアキ先生サイン会

 ゲーマーズ本店で行われたカトウハルアキ先生のサイン会に参加してきました。
 台風が微妙に逸れて雨風ともにそれほどでなかったのは天祐と言うべきでしょうか。

 会場の6Fにはサイン会参加と思しき人がちらほらと。
 店員さんの「サイン会参加の方はこちらへ」の案内とともにフロアの端っこ列を形成して開始待ち。
 きちんと数えたわけではありませんが、並んでいたのはだいたい30人弱だったでしょうか。

 そして先生ご入場。すらりとした細身のお兄さん、という印象の方で、参加者と話をしながらサラサラとサインをされておりました。

 リクエストは無しでしたが、サインにはイラストを入れて下さり、私のサインにはデフォルメされたユウのイラストが。

 ああ、目の前でユウがどんどん描かれていく!

 いやもう、大変に嬉しい。
 あんまり嬉しくて緊張して。先生にはなんかありきたりの言葉しか差し上げられませんでしたが。これからも作品を大変に楽しみにしております。

 ちなみに、サインはこんな感じでした。

kh_sign.jpg

 右のは『ヒャッコ』発売時に芳林堂で売っていたサイン本をゲットしたもの。
 両方とも宝物として大切にいたします。
 台風の中出かけて行った甲斐がありましたわ。

 関連:『ヒャッコ』感想『夕日ロマンス』感想
posted by 凡鳥 at 19:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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