2007年09月23日

藤田和日郎『黒博物館 スプリンガルド』

 燃えるような目をして、口からは火を吐き、人とは思えない跳躍力で19世紀のロンドンの街を跳梁して人々を騒がせた「バネ足ジャック」。しかし、彼が行うのは「女性を驚かせる」ことだけで、それ以上のことはしなかった。そんなバネ足ジャックであったが、スコットランドヤードによる必死の捜査にも関わらず、正体不明のままある日を境に忽然と姿を消してしまう。

 しかし、その謎の失踪から3年後、「バネ足ジャック」は恐ろしい連続殺人鬼としてロンドンの街に再び姿を現したのであった。
 彼を追うロッケンフィールド警部は、3年前のバネ足ジャックの正体と目されるストレイド卿に面会を申し込む。

 「悪戯」はしたが強盗や殺人といった「犯罪」は犯さなかったバネ足ジャックは、なぜ三年の時を経て殺人鬼となってしまったのか。

 イギリスの「バネ足ジャック」伝説を下敷きにして藤田和日郎が描く怪奇と浪漫と愛とが詰まった熱きゴシック活劇。
 物語は、スコットランドヤードにあるというあらゆる犯罪の資料を集めた「黒博物館」を訪れた男が、展示されたバネ足ジャックの足を見ながら底の学芸員に「バネ足ジャック」事件の真相を語る、という形を採っております。

 物語の核となるのはバネ足ジャック=ストレイド卿。放蕩貴族っぷり全開で騒ぎを起こしていた彼ですが、一人の娘との出会いが彼を変化させ、「悪戯」を止めるきっかけに。無茶をやっているストレイド卿なのに彼女に対する純情っぷりが滑稽でもあり、またほろ苦くもあります。ストレイド卿、実に良いキャラです。

 そんなストレイド卿に向けられたある男の歪んだ執着が殺人鬼・バネ足ジャックを誕生させ、その偽ジャックと真ジャックが対決。表に出せない秘めたる恋のための戦いが、歪んだ愛情と純粋な愛、しかし公にできない二つの愛のぶつかり合いが、異形のバネ足ジャック同士の戦いとして描かれている様は圧巻。
 戦いの前、中で結婚式が行われている教会をバックにバネ足ジャックが行く手を遮り
「ここから先は敬虔で善良なる者以外立ち入り禁止だ
 ……オレ達は入れない」
 という場面など弥が上にも期待が高まります。

 その戦いの後、花嫁を見送ったバネ足ジャック。素顔で見送った後、壊れた仮面を再びかぶっての台詞がまた切なく、そして格好良い。ストレイド卿の美学によるやせ我慢と、事件の顛末を一緒に見た警部のさりげない労りが泣かせます。


 そして外伝である「黒博物館 スプリンガルド異聞 マザア・グウス」も収録。
 こちらは完全無欠のボーイミーツガール・藤田味。
 やんちゃな少女と、ちょっと大人しめの少年がバネ足ジャックの衣装を使ってロリコン変態教授と対決。そしておいしいところを持って行くストレイド卿。
 催眠術を悪用して少女の裸体写真を撮りまくる教授のビジュアルが文系悪党であるのに藤田イズム全開で大変素晴らしいと思いました。

黒博物館スプリンガルド (モーニングKC)黒博物館スプリンガルド (モーニングKC)
藤田 和日郎

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2007年09月22日

原作:京極夏彦 作画:樋口彰彦『ルー=ガルー』1巻

 京極夏彦の異色作のコミカライズ。
 妖怪モノではなく、SFモノ。

 「パイド・パイパー」と名付けられた疫病災害によって人類は壊滅し、その後に高度なネットワークが構築され、「端末」によって人間が保護・統制されている管理社会。
 そこで人々は「端末」を介したコミュニケーションを行い、直接的な人間同士の接触の機会は減り、人間以外の動物の存在さえ希で、食物さえも人造食品に置き換っており、人々は「リアル」な生命の感触から遠ざかっている。
 そんな社会の中で起きる連続殺人事件に関わった少女達の物語であります。

 他人に触れたり精神が不安定になると鼻血が出てしまうという「接触型コミュニケーション障害」の少女・牧野葉月。ボーイッシュな容姿とクールな性格にミステリアスな雰囲気を湛えた神埜歩未。14歳にして博士課程まで修了している天才少女で悪童系元気娘の都築美緒。
 この個性豊かな3人を中心に、ゴスロリ衣装に身を包んだ占術少女・作倉雛子や、矢部祐子、麗猫といった少女達が絡みながら、殺人者「ルー=ガルー」と、「生命」を巡る物語が展開していきます。

 原作からのコミカライズに際してキャラクターに加えられたアレンジもあって、登場する少女達は皆、実に魅力的に描かれております。
 最初は自分の体質に引け目を感じていた葉月がだんだんと鼻血を出しながらも強い意志で前を見据えるようになっていく姿、美緒が見せる悪戯な笑顔、心の底に何か強いモノを秘めている歩未、漫画ならではの表現で原作とはまたひと味違う魅力を醸し出しています。何でもない場面でも少女達の表情、しぐさがまた可愛らしいのも非常にポイント高いです。

 原作に飲み込まれておらず、且つ原作を毀してもおらず、漫画であることのおもしろさを遺憾なく発揮しており、小説のコミカライズとして実に素晴らしい作品であると思います。

 この1巻で描かれているのは、まだ事件のほんのさわりの部分。
 この後数々の見せ場が待っていますのでそこをどう描いてくれるか非常に楽しみであります。
 美緒の大暴れや、京極節が炸裂する雛子の語りなどがどうなるか大注目。

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樋口 彰彦 京極 夏彦

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2007年09月21日

原作:横山光輝 脚本:今川泰宏 漫画:戸田泰成『ジャイアントロボ 地球の燃え尽きる日』

 ロボと大作の過去が語られた「誕生編」が終わり、梁山泊本部急襲の「白昼の残月編」が始まる第2巻。

 GR奪取に失敗したBF団、いよいよ十傑衆が本格的に動き出しますが、幻惑のセルバンテスに続く二番手は「白昼の残月」。ウラヌス、スフィンクス、ウラエヌスの三つの神体を使って世界各地で暴れ回ります。それを迎え撃つ国際警察連合。

 世界を滅ぼすというロボの力を巡って争うBF団と国際警察連合。この二つの組織の間で翻弄される大作少年。そして、彼は元九大天王の一人であり、ロボの秘密を握る豹子頭林冲と出会い、国際警察連合の本拠地である梁山泊へと足を踏み入れるのでありました――。
 そして、その梁山泊を急襲する白昼の残月。
 前門の九大天王、後門の十傑集。大作少年の運命や如何に!?


 いやー、濃い。素晴らしく濃い。
 十傑衆が濃い、九大天王が濃い、いちいちポーズが濃い、擬音が濃い、何もかもが濃くて読んでいるだけでお腹いっぱい胸いっぱい。ケレン味たっぷりの今川脚本と、濃いぃけれども勢いとかっこよさ抜群の戸田画の熱い融合。これでワクワクしない方が無理というものです。

 アルベルトのサリー召還、それに加えてGR2、GR3も登場! 絶体絶命のピンチか!? と思いきや何の説明も無く味方としてGR2・3を使役し始める大作少年や、無明幻妖斎が語る草間博士とのツッコミどころ満載のケンカの事情とか無駄にパワフル、無駄に勢いがあってとにかく読ませる作品であることは間違いありません。幻妖斎と草間博士、(あくまで幻妖斎視点からの話ですが)子供みたいな理由で世界を滅ぼしかけてます。

 そしてますます冴え渡る中条長官と韓信元帥のウザさ。「ごきげんようー!!」とか「やんややんや」とか。大作少年を翻弄する小悪党と化して、本当に良い味をだしております、この二人。

 OVAとは激しく異なる展開を見せておりますが、ロボと大作少年はあくまで狂言回しで、十傑衆と九大天王の濃いぃぃキャラ達の活躍がメインというのは共通しております。オヤジ達の勢いとインパクトとケレン味たっぷりの活躍は本当にたまりません。

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横山 光輝 今川 泰宏 戸田 泰成

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吉富昭仁『BLUE DROP』1巻

 突然現れた謎の美少女と、彼女に不自然なまでにSEXすることを要求される少年・ショータ。
 一週間以内に性交することを強制された二人ですが、色々と難しい問題が……。
 『EAT-MAN』の吉富昭仁が紡ぐ、倒錯した性に満ちたSFストーリー。

 というわけで、「チャンピオンRED」の三大おちんちん漫画の一つ(他の二つは「ヘクセンリッター」と「アキハバラ無法街」ということで)であるところの「BLUE DROP」がついに単行本化。
 性転換少年やら女装少年やら男同士・女同士のアレが満載で非常に倒錯度の高い作品であります。

 主人公の許に現れた美少女の正体は、地球を侵略している異星人"アルメ"によって女の子に改造されてしまった親友のケンゾーなのでしたが、体は男と女でも、元々同性である親友とのSEXに踏み切れないでいる二人。

 しかし、二人で子作りをしないとアルメに始末されてしまうワケで――と、お互いにドキドキしながらも最後の一線を踏み越えられない二人が描かれております。
 ここら辺の葛藤はTSモノの醍醐味の一つではありますが、あの手この手でショータをその気にさせようと誘惑するケンゾーがちと突き抜けております。

 「お前の好みの女が分からなかったから、俺の好みの女を演じるしかなかった」と語るケンゾー。その好みの女というのが、「自分の足の指をしゃぶる」であったり「自ら喉に指を突っ込んで吐く」だったりともの凄くマニアック。ドキドキするんだか、常人には何だかもうさっぱり分かりません。が、とにかく凄いマニアックな性癖だというのはイヤというほど伝わってきます。

 他にもアルメ達がハードにレズっていたり、アルメに女を奪われた地球の男達が男同士で絡み合っていたりと、アブノーマルな性がこれでもか、と描かれております。女装したショータがおちんちん弄られまくったり。

 兎に角、二人がSEXに及ぶために色々試みているうちに、幼なじみのコトコや、ショータを慕っていた後輩のシンイチらを巻き込んで、なぜかショータは女装してケンゾーとともに女子校に入学することになってしまいます。いやもう、色々カオスです。おつかれちんちーん。

 しかし、文明の発達の中で女性しか存在しなくなり、女同士で繁殖する術を得たアルメ、その自然な繁殖のために地球の男を使って実験を行っており、その犠牲者がケンゾーであるなどSF的背景はきちんと設定されております。1巻の時点ではあまりに変態的な性が横溢しているため、どうしてもそのインパクトのある方に目がいってしまいがちですがアルメ達の会話などから結構ハードなバックグラウンドがあることは読み取れます。この変態的性にまみれた展開からどう物語が展開していくか、非常に興味をそそられます。
 重要人物の死も描かれておりますし。

 しかし、まあ、雑誌連載を読んでいたときも、毎回そのマニアックさやインパクトに度肝を抜かれておりましたが、単行本でまとめて読むとその詰め込まれた倒錯っぷりにクラクラきます。うーん、素晴らしい。
 最初に「RED」誌上でこの作品を見たとき、あの吉富昭仁が?! と仰天したものですが、『EAT-MAN』でたまに挟まれていたギャグのノリとかを考えると、こういう素養のある人だったのだなあ、と納得したりも。

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吉富 昭仁

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2007年09月20日

「チャンピオンRED」2007年11月号

 今月号の付録は「聖痕のクェイサー」のまふゆフィギュア。温度によって色が変わるので、こすって熱くすると水着が透けます。「擦る」という行為は男にとって本能的な行為であるから仕方がない。そして男というのは全く馬鹿な生き物であることだなあ。

 さて。

ともぞカヲル「デッド・ソウル・リボルバー」
 心の闇によって悪魔化してしまった人間を処分する武装祓魔師の少女と、悪魔憑きに襲われて彼女と出会った少年の物語。ゴスロリ衣装に身を包んだ少女が銃をぶっ放すという今風の道具立てではあったり、おっぱいポロリのお色気があったりはしますが、他の濃いぃRED連載陣に比べるとやっぱり滋味というか印象の薄さは否めない感じであります。

山口貴由「シグルイ」
 伊良子清玄対牛又師範、ついに決着。
 鬼と化して必勝の場を作り上げた牛又ですが、紙一重の差で伊良子に敗北。その最期に「人」としての牛又を描くのが何とも哀しみを誘うのでありました。

八神健「どきどき魔女神判」
 小さくなって服の中に潜り込んで乳首につかまってみたり、もっと下の方で「湿ってる」とか「せまい」とか言ってみたりで一体何をやっているのか!
 興奮して吹いてしまったらアウトという神判の笛の名前が「カオリク・ローキ」だったりと大変にバカバカしくてステキであります。

戸田泰成「ジャイアントロボ 地球の燃え尽きる日」
 白昼の残月、梁山泊に侵入! 各地に出現していた神体は国際警察連合の戦力を分散させる陽動だったのだ! ……という割には主力中の主力であるところの九大天王全員が梁山泊に残っておりました。
 圧倒的な力を持っているハズの神体で攻撃を仕掛ける残月ですが、無明幻妖斎の前には全く歯が立たず。スフィンクスにギャグボールを噛ませてお手をさせるなど素晴らしく魅せてくれております。ケレン味たっぷりで登場した残月もあっさりといったん退場。いや、十分に濃いのですが幻妖斎の方が濃すぎて霞みます。
 そして次なる十傑衆「激動たるカワラザキ」登場。
 大作少年やロボを置いてけぼりにして、濃いぃオヤジ達の宴が続くのでありました。この素晴らしい濃さはちと余所では味わえません。

藤見泰高/カミムラ晋作「ベクター・ケース・ファイル」
 ボケちゃったおばあちゃんのために、思い出の味のハチミツを作るため素人判断で養蜂する女の子の話。基本的にいい話&虫知識のお話なのではありますが、蜂に刺されておっぱいポロリがあったり、ハチミツプレイが挿入されたりとマニアックにお色気が挿入されるこのノリがたまりません。

木々津克久「フランケン・ふらん」
 金持ちの娘の誕生祝いとして船上パーティに招かれたふらん。
 実は船で出された料理というのが娘の肉を使ったモノで――というカニバリズム全開のストーリー。残った死体の首を使って殺された娘の気持ちを確かめますが……いやー、ヒドい話だ。ヒドい話ではありますがこの無茶っぷりが逆に物語を明るくしていてて素晴らしい。
 そして単行本が11月に出るとのこと。やった!!

杉村麦太「アキハバラ無法街」
 前回のラストで登場したくるりを「おにいちゃん」と慕う凶暴な大女メイド・すだま。その正体は戦闘マシーンの複合強化猟兵なのでありました。
 戦うためだけに生まれた彼女に、他人になんと言われようと兄妹の情を以て接するくるりが彼女のプログラムに変化を起こし、最期にすだまは「人」の心を宿すのでありました。
 特異で倒錯した設定の中、王道のストーリー展開と迫力のアクションで魅せる魅せる。出てくる小物が秋葉原の「今」の旬なモノなのもポイント。

チャンピオン RED (レッド) 2007年 11月号 [雑誌]チャンピオン RED (レッド) 2007年 11月号 [雑誌]

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柴田ヨクサル『ハチワンダイバー』4巻

 斬野との「勝った方がアキバの受け師を自分のモノにする」という勝負に敗れた菅田は、凄まじい喪失感と悔しさの中、以前勝負をした二こ神と再会する。
 その二こ神と彼にかつて敗れたプロ棋士・海豚との鬼気迫る戦いを見せつけられ、菅田は二こ神の弟子となることを決意、二十四時間将棋漬けの過酷な修行が始まるのであった!

 そんなわけで、ハチワンダイバー・菅田の喪失から復活を描く第3巻。
 将棋でしか人生を歩めない男達の執念と気迫が詰まりまくっております。

 20年前に二こ神に敗れた一局が忘れられず、その敗北の「毒」がその後のプロとしての将棋に影響しつづけた海豚。「その毒を解毒しにきた」と語り、ホームレスとなった二こ神にプロとしてのプライドと将棋人生を賭けて再戦を挑む彼と、その勝負を受ける二こ神。
 そこで語られる二こ神の人生もまた将棋への狂おしいまでの執念によってきざまれてきたもの。将棋のみに集約される二つの人生のぶつかり合いが、「バチィ」「バチィ」と凄まじい音とスピードで指される見ているだけで圧迫されるような将棋として描かれております。
 直線的な大ゴマと巨大な文字、そして執念が込められた台詞群が生み出す尋常では迫力とスピード感。棋譜など分からなくてもその空気に飲み込まれてしまいます。

 そんな行き詰まるような勝負を描いている一方で、随所に挟まれる笑いがまた素晴らしい。ブリッジの姿勢で悪夢に魘される菅田とか、プロ棋士を目の前にして土手に正座して滑り落ちてしまう菅田とか、おっぱい揉んだ問題について菅田を問い詰める二こ神とか。
 「おっぱいを揉んだらお前は弱くなる」理論の、何かそれ一筋でやってきて他に男達の哀しさと滑稽さを表しながら同時に具えている素晴らしい説得力。
 おっぱいに触れて菅田の将棋の力は半分になったと断じる二こ神が、その力を元に戻してやるから「俺の弟子になれ」という言葉に対して、菅田の「イヤです」というノータイムにして力一杯の拒絶とか。

 そんなやりとりも、二こ神と海豚の凄まじい勝負を目にした後は「弟子になれ」という言葉に対して真摯に「ハイ」と答えるようになってしまう展開の心憎さに繋がっております。

 いやー。凄まじいテンションを保ったまま展開していく物語に全く目が離せません。間違いなく今最もアツい漫画のうちの一つでありましょう。

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柴田 ヨクサル

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2007年09月15日

この頃間違いが多くてアレです

 えーと、この頃記事に間違い・誤字が多くて我ながら反省しております。昨日の『喰いしん坊!』も満太郎を万太郎とか書いてるし、『ギャンブルフィッシュ』も中学校が舞台なのに「高校生」とか書いちゃってるし。
 いやホント、きちんと確認してなくてすいません。

 それはまあ、一つ反省としまして、この頃このblogを引っ越ししようかしら、などとぼんやり考えていたり。この頃seesaaが微妙な不具合を起こすことが多かったり、デザイン面で痒いところに手が届かなかったりというのが主な理由で。
 そのうち引っ越すかもしれませんが、その時はまァ、そういうことで。
 面倒になって引っ越さない可能性も大ですが。

 あと、このblogのタイトルは横溝正史『獄門島』の重要な台詞から採っているわけですが、それ知らない人が見たらギョっとするタイトルだったりするのかしら……、などと考えると改名もした方が良いのかしら、などと。

 そして、一応の連絡をば。明日からちと帰省するので更新が止まるかもしれません。

 そんなわけで、そのうちこのblogも何か変化が出るかもしれませんが、中身はそんなに変わらないので今後ともよろしくお願いします。
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2007年09月14日

土山しげる『喰いしん坊!』15巻

 ハンター錠二 VS 鳥飼の素麺勝負にも決着が付き、喰いワングランプリもいよいよ決勝。
 満太郎、錠二、西山、高丘の4人で争われる決勝の食材は"太巻き寿司"。
 正道の大喰いと邪道喰い、フードファイター達の誇りを賭けた戦いの幕が、今切って落とされた!

 4者とも最初はストロングスタイルで挑戦しておりますが、口内に貼り付いて大喰いを妨げる「海苔」を攻略するために、高丘桃子は一度寿司をバラしてラップで丸めて中に海苔を封じ込める戦法に。
 対する満太郎、錠二は霧吹きでしめらせてから切り分けて食べるという戦法が図らずも一致。
 一方、ただ黙々と、しかし他の3人よりも早く太巻きを食べていく西山の不気味な存在。

 ストーリーも佳境、数々の戦いを勝ち抜いてきた猛者4人のガチンコ対決。高丘桃子のやり方も邪道喰いという割には正道っぽい。
 むしろ「道具を使うことはTFFの趣旨には反するがこの場合致し方ない……!」と言いながら霧吹きを使う錠二さん達の方がまずいんじゃないでしょうか。勝つために趣旨に反する食べ方をするってそのまんま邪道喰いじゃないか!

 ――というその辺りのツッコミ入れやすさとか隙も、この作品の大きな魅力であります。

 それにしても、徹夜組まで登場する喰いワングランプリの人気は異常。
 それぞれのフードファイター達の人気っぷりも高くて、グラサンに二丁箸を装備したハンター錠二応援団の絵面とかとても素晴らしい。
 もう既にこの時点で「大喰いをエンターテイメントにする」というOKFFの目的は達成されているような気がします。

 そして、未だ底を見せぬ「外道喰い」の西山は一体どういう食べ方を見せてくれるのか。
 次巻が楽しみで仕方ありません。

喰いしん坊! 15巻 (15) (ニチブンコミックス)喰いしん坊! 15巻 (15) (ニチブンコミックス)
土山 しげる

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2007年09月13日

「コミックビーム」2007年10月号

森薫「エマ 番外編」
 今月はなんと4コマ。ターシャ、ハンス、グレイス、スティーブンスの4人を主役にそれぞれの日常生活のひとコマを描いております。
 間の取り方とか、オトし方とか、本当に森薫は何をやっても達者ですなあ。スティーブンスの最後の話の余韻とかすごくいいなあ。

タイム涼介「アベックパンチ」
 以前にイサキに声をかけていたヒイラギさんが再接近。それに対して不器用にも程がある気の遣い方をするヒラマサ。互いに鈍感な男女が微妙にすれ違っている様が面白くもあり、ちょっと苦くもあり。
 そしていよいよジムではヒラマサのパートナーとなりそうな女性が登場。なんとヒラマサよりもデカい外人女性。またしてもデリカシーのなさ過ぎる言葉を飛ばしたヒラマサを殴り飛ばした彼女と、喜んで受け入れるヒラマサ。
 いよいよ「女性」の話が物語の中にも本格的に入ってきて、物語はますます面白くなってきました。

入江亜季「群青学舎」
 山賊にさらわれた異国の姫・待宵姫と、その山賊のボスの話の第2回。
 牢から出されてやっと外を出歩けるようになった姫。収穫期の中慌ただしく働く人々を見たり、その人達から声をかけられたりで、今までの生活とは全く異なる世界があることを知ることに。
 ただ他国に嫁ぐために従順に王宮の奥で従順に生きることのみを教えられて生きてきた姫が、これから先どうなるのか。
 姫が初めて触れる世界の瑞々しさを描く筆致が素晴らしいなあ。
 未来に対する不安と、過去を顧みての虚無感から姫の焦りみたいなものも伝わってきて、ああ、やっぱりこの人はとんでもなく巧いなぁ、と再確認。

カイトモアキ「脅迫姫」
 銀行の金を横領した支店長と、彼を脅迫しながらも彼に想いを寄せている女。
 金を餌に自分を見ることを促す女と、社会的身分と金にばかり目がいく男。
 そんな彼の姿を見て彼女が取った行動は――
 カイトモアキの描く愛の形はいつもひん曲がっていながらとても純粋でいいなあ、と思うのです。濃い絵柄もまたインパクトがあって実に良い。
 単行本、出ないかなあ。

宮田紘次「うたたね姫」
 おお、第二回目が掲載されるとは!
 お風呂で眠ってしまった女の子。現実と溶け合いながら次々と切り替わっていく夢が不思議な感覚で読ませます。
 準備中の「音」に関する新作というのも楽しみ。

コミックビーム 2007年 10月号 [雑誌]コミックビーム 2007年 10月号 [雑誌]

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2007年09月12日

小箱とたん『スコアブック 小箱とたん作品集』

 2人しかいない野球部にマネージャーとしてやってきた女の子・本間九州子(くすこ)。
 私を雇えば5人の部員を集めてきてやる! と宣言した彼女が連れているのはウシ・ニワトリ・ネコ・ウサギ・カメの動物たち。
 そんな頓狂なマネージャーと野球部員と動物たちが甲子園を目指して迷走するコメディ漫画。

 甲子園を目指す! と言っておりますが、部員の過半数が動物である時点でまっとうに野球をするワケもなく。野球漫画の皮をかぶった――いや、かぶることすら放棄して明後日の方向へ駆けていくのでありました。
 目指せ「仔牛園」。

 頓狂な持論とテンションで暴走していく九州子さん。
 動物好きの九州子さん。
 ウシのためなら何でもやっちゃう九州子さん。
 そんな九州子さんに引っ張られて甲子園の道を逆送していく部員達。そして野球漫画であることを放棄して珍妙な動物と変人が跋扈し始める作品。
 ああ、小さい頃はあんなに可愛かったのに変人になってしまった九州子さん。でも動物好きであるのはかわいいなあ。

 『スケッチブック』ではトーンを抑えめで、いわば「静」のギャグを描いているのに対し、この作品では徹底的にテンション上がりっぱなしの「動」のギャグを描いております。
 全体的にむちゃくちゃなことをやっておりますが、そのむちゃくちゃさ加減を九州子さんのキャラが全て受け止めている感じ。なかなかよそには無いテンションのキャラクターであります。

 しかし、「小箱とたん作品集」とあるからてっきり短編集とか、2つ3つの短編が収められているのかと思いましたが、ほぼ全部「スコアブック」で、1編の「スケッチブック」おまけ漫画が収めてある、という体裁なのでした。
 スケッチブックがリアルっぽいの中にある「変」を描く作品としたら、こちらは徹頭徹尾「変」なモノを描く作品といった印象であります。

スコアブック~小箱とたん作品集~ (BLADE COMICS)スコアブック~小箱とたん作品集~ (BLADE COMICS)
小箱とたん

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