2005年01月29日

四畳半神話大系

 四畳半神話大系
 2003年のファンタジーノベル大賞受賞をした森見登美彦の新作。


 大学三回生となった「私」。
 実益のあることなど何一つしてきておらず、京都のボロアパートの四畳半で、トンチキな日々を送ってきた。
 斯くの如き惨状は一体どうしたわけか。
 幻の至宝「輝かしい薔薇色のキャンパスライフ」はどこへ失われてしまったのか。

 思い返せば、一回生の春の日、サークル新入生勧誘の場で

 映画サークル「みそぎ」、「弟子求ム」という奇想天外なビラ、
 ソフトボールサークル「ほんわか」、秘密機関<福猫飯店>

 これら胡散臭いサークルに興味をそそられ、「人の不幸をおかずに三杯は飯が食える男」小津と出会ったたことがそもそもの始まりであった――

 それから綴られるのは、ひたすら他人の恋路を邪魔し回った「私」の物語であり、延々と続く「自虐的代理代理戦争」に巻き込まれ、それはそもそも何なのか、という物語であり、突然始まったラブドール「香織さん」との同居生活の物語であり、四畳半冒険記である。


 やあ、大変に、大変に愉快でありました。
 装飾過剰の文体がまた、どこかユーモラスで、語り手である「私」の意識を良く表現していて楽しゅうございます。
 登場人物も皆一癖も二癖も有る人物ばかりで、特に小津の暗躍っぷりが素晴らしい。そして明石さんは可愛らしいし、樋口師匠と城ヶ崎先輩と羽貫さんの、実はなんか青春物語みたいな関係も美しい。
 太陽の塔の時もそうでしたが、どうしようもないことにひたすらエネルギーを注ぐダメげな男達を描きながらも、なんかいい話。

 話の構成にちょい工夫がありまして、ちりばめられた謎が明らかになっていく様も大変楽しゅうございました。
posted by 凡鳥 at 12:56| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年01月23日

暗黒館の殺人

 綾辻行人「暗黒館の殺人」読了。

 山中の湖に浮かぶ孤島に建つ、全てが黒で染められた異形の館、「暗黒館」
 住まうのは、どこかが壊れた異形の者達。
 当主、浦登一族に秘められた謎。
 その中で起こる殺人事件。
 18年前に起きた当という当主殺しと関わりはあるのか。

 ――そんな感じでてんこ盛りの綾辻行人8年ぶりの新刊であります。

 中身はいかにも綾辻行人でありました。
 トリックも文章も。

 館の住人は、せむしの使用人、美しきシャム双生児、老人の顔をした子供――など、書く人が書いたらかなりねちっこく濃い話になりそうですが、それらが全部あっさり風味になっている綾辻マジック。
 ミステリにおける主役はトリックであり、登場人物はそれに奉仕する駒でさえあれば良い、という信念があってこういう書き方を――してるわけではないんでしょうな、たぶん。

 いやしかし、さすがに隙無く作られてます。
 ただ、ラストの
「この屋敷ではそういうことがおこってもおかしくない"場"ですので」
 の「そういうこと」っていうのは――まあ、どうなんでしょうねえ。

 決してダメとは言わないんですが、なんと言いましょうか、こう――半分で良かったンじゃないかしら、という感じで。ええ。
posted by 凡鳥 at 18:59| Comment(2) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年01月06日

鹿鼎記

 ちとワケがありまして、年末から今年のあたまにかけて金庸「鹿鼎記」全八巻を通しで読んでまして、ようやく本日読み終えました。
 お前、出たときに読んでなかったのか、というツッコミは無しで。

 時は清朝康煕帝の御代。主人公の韋小宝は、揚州の妓楼で育った少年。喧嘩はからきし駄目、努力なんか大嫌い、しかし口の巧さは天下一品、博打が大好きというろくでなし。
 このろくでなしの韋小宝が、ひょんなことから宮中に入って康煕帝のお気に入りとなり、また同時に反清復明を志す結社「天地会」にも招かれる。朝廷と天地会、相反する二つの組織の中で、持ち前の要領の良さで活躍していくが、彼の手に入れた「四十二章経」を狙って、邪教「神龍教」が牙をむく!
 彼の活躍は中国だけに留まらず、チベット、モンゴルを相手にし、ついに舞台はロシアにまで及ぶ!


 といった感じのお話。

 イヤすごい。この韋小宝が主人公ってのがすごい。口が上手いったって、別に弁舌爽やかとかそういう類ではなくて、行き当たりばったりの出任せ。その場しのぎ100%で全編を乗り切ります。
 あんまりそれで、清朝の高官も武芸の達人もロシア人もみんな丸め込まれてしまうものだから、登場人物がみんな間抜けに見えないことも無いです。特に神龍教の人たちはお人好しにも程がないか。
 しかもこの韋小宝は女好き――というよりはエロガキ。
 登場する7人のヒロインにじゃれてる(セクハラしてる)うちに、最終的に全員と関係持ちます。子供も産ませます。
 ヒロインも、「あんたは私の家来でしょ」とか言いながらサド行為に及んでたかと思えば、二人きりになった途端に「ご主人様、私は貴方の奴隷です。どうぞ思い切りいじめてください」という変態公主やら、ご主人様一途の健気な犬系キャラの従者やら、妖艶な人妻やら、純真無垢なお嬢様やら色々います。それらの美少女(だって絶世の美少女とか書いてあるんだもの)を同時進行で攻略していくのです。
 司馬遼の「龍馬が行く」が「司馬遼メモリアル」と言うなら、こちらは「金庸同級生」かもしれませんぞ。

 しかしすげえですなあ。エンターテイメントですなあ。60年代の中国でこれ書いてたんだからスゲエなあ。そりゃあ人気爆発なのも頷けますわい。
posted by 凡鳥 at 21:59| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年11月21日

ダ・ヴィンチ・コード

「ダ・ヴィンチ・コード」読了。

 ルーブル美術館内で館長が殺された!
 館長は今際の際に謎のメッセージを残していた!
 その謎を 追っていくうちに、キリスト教の秘密に!

 ごく大雑把にはそんなお話。
 大変面白うございました。
 キリスト教に於ける象徴学などの蘊蓄が、これでもか! というくらい、ふんだんに盛り込まれております。
 この話のキモは、過去に発表されたキリスト教のアレに関する学説を、如何にエンターテイメントに昇華するか、ということなのだと思います。
 それにはすごく成功していて、ですから「怪しいんじゃねぇの」とか言ったらイカンのだと思うのであります。楽しく読んで吉。キリスト教圏にはない我々日本人の方が素直に楽しんでいるのではないでしょーか。

 それにしても、ラングドンとソフィーの「展開上とりあえずくっ付けとくかあ」感がすごかった。それさえもほんの枝葉に過ぎませんが。
posted by 凡鳥 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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