2007年08月28日

アントンシク『ガゴゼ』3巻

 力を失い、かつて従えていた妖怪達に狙われるガゴゼ。
 逃避の道行きの中、再会した忠臣 妖狼の朝倉は力を取り戻すために人の肉を食らえと行方不明になっていた足利義満の息子・義嗣を差し出す。
 ガゴゼが義嗣を喰らおうとした時、襲いかかる式神・青龍。
 その主である陰陽師の有盛まで登場し、朝倉は己の息子にガゴゼを託してその場に残る。
 一方、ガゴゼは再び人里に辿り着く。
 人々はガゴゼにも優しく、再びガゴゼは安息を得たかと思われたが―――


 ガゴゼの肉をもぎ取り喰らう真の姿を現わした青龍、その青龍に咆哮と共に挑む妖狼朝倉。獰猛さ全開で描かれる人外の者達の戦いが素晴らしく格好良い。
 敵意に剥かれた目玉、ぎらつく牙、おどろおどろしい風貌、実に魅せます。
 この3巻の後半に登場する人面蜘蛛・祢々もグロテスクで素敵。
 この作品の妖怪達の描写はどれもこれも実に素晴らしい。

 物語的にも、有盛に仕える十二神将がかつて交わした契約の一端が青龍の口から語られたり、朱雀と青龍の間に確執があるらしかったり、若き日の義満とガゴゼの因縁が語られたり、有盛と「カシリサマ」の謎が深まったりと、複線が縦横に張り巡らされております。これらがどう収束していくか、興味は尽きません。

 また、童形になっても獰猛さを失っていないガゴゼですが、義嗣を喰らおうとした際に、人の心の温かさを教えてくれた少女・鬼無砂の面影がよぎって躊躇したり、逆に同種の暖かさを感じて信用した人間に裏切られたりと、徐々に人間に対する認識が変わっていくガゴゼの複雑で微妙な心境が丹念に描かれていて読ませます。
 一回の温情で信頼一辺倒に転がっていかないで、まだまだ懐疑的で憎しみ蔑みの思いが大勢というのがいい。

 新刊が出るたびに素晴らしく面白いなあ、と思うのです。
 もう少し人に知られて、もう少し人に読まれていてもおかしくないクオリティだと思うんですがのう。

 1巻感想/2巻感想

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posted by 凡鳥 at 02:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 漫画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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