2007年08月02日

作:武論尊 画:池上遼一『覇 −LORD−』9巻

 劉備は倭人。趙雲は女で呂布の子を産み、その子が関平。貂蝉は漢王朝の血を引く。
 等々、三国志の常識を破壊する設定満載の武論尊&池上遼一コンビによる異形の三国志漫画も既に9巻目。
 この巻では「演義」で言うと反董卓連合瓦解とか洛陽焼き討ちの辺りを描いておりますが、当然のごとく「演義」や「正史」の枠に収まっておりません。

 敗れて帰ってきた孫堅は袁紹を蹴倒し、曹操は袁紹・袁術を放逐して勅書を奪い取り反董卓連合の盟主に。そして一層強固に団結する(!)反董卓連合。

 一方、貂蝉を手にした董卓は全く色香に惑わされることがなく、逆に恐怖で貂蝉の心を挫けさせるという男らしさ全開の展開。

 放逐された袁紹・袁術コンビは留守となった諸侯の領地を切り取り放題。これによって諸侯は危機を感じて反董卓連合は瓦解。袁術は長沙を襲い孫権を捕虜に。ついでに伝国の玉璽も奪ってしまいます。――洛陽に一歩も足を踏み入れていないのに一体どうやって孫堅は玉璽を手に入れたのだろう、という細かい疑問も湧いてきますが、いいんだよ細かいことァ! 的な勢いが。

 その孫権を人質にして孫堅に劉表攻めを強要する袁術。
 しかし、孫権に舌を噛まれて自殺されそうになって逆に慌ててしまい「華佗を呼べい! 華佗の医術に賭けるのだ〜〜!」とか言い出すうっかりさん。
 そこで華佗を持ってくるか! という驚きもありますが、「バカヤロー! "頭"は二つ要らねェんだよ!」とか、ちんぴらテイスト全開の袁術陛下が素晴らしい味を出していてたまらないものがあります。後に皇帝になった時の活躍が今から楽しみで仕方ありません。

 董卓の過去のトラウマが描かれていたり、馬騰が登場したりと物語的に色々展開しておりますが、この9巻の主役は間違いなく袁術陛下でありましょう。

 え、あれ、三国志ってこういう話だったっけ――
 と、相変わらず読む者の「三国志」観をぐらぐらと根っこから揺さぶる作品であります。素晴らしい。

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posted by 凡鳥 at 01:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 漫画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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