2007年02月24日

志水アキ『異郷の草 三国志連作集』

 三国志に登場する人物の「個の物語」を描く短編集。
 老境に達し「岩のようになりたい」という理想を語る黄忠を描く「巌のごとく」
 愛に飢えた鍾会の乾いた栄光とその失墜を描いた「瞼の楽土」
 無頼の徒から成長していく甘寧を描いた「彷徨う鈴影」
 虐げられた漢人として孟獲を描いた「異郷の草」
 劉備の古くからの友として自由に生きる簡雍を描いた「江河の一滴」

 以上の五編を収録(「巌のごとく」「瞼の楽土」は『怪・力・乱・神クワン』4巻末にも収録)

 「三国志」という大きな物語の流れから各人の一つのエピソードを切り取り、ヒューマンドラマとして仕上げられています。
 近頃多い三国志の名前とキャラクターだけを借りただけの作品群とは一線を画すしっかりとした作りで、史実・演義を丹念に取材してあるのがわかり、その上でのアレンジが実に読ませる作品。各人物に対するイメージを膨らませてくれます。
 個人的には「巌のごとく」が一番好きかなあ。
 
 そして志水アキのシャープな線で描かれた人物達はとても格好いい。深い年輪をその顔に刻んだ黄忠、酷薄なインテリ鍾会、屈託を抱えた無頼漢甘寧、気弱な一般人孟獲、飄々とした簡雍、キャラクターの特性が表れていて実に良いです。

 三国志漫画として相当完成度の高い作品。三国志に興味がある人は是非。

志水アキ三国志連作集志水アキ三国志連作集
志水 アキ

メディアファクトリー 2007-02-23
売り上げランキング : 4884

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

posted by 凡鳥 at 17:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 漫画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/34571207

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。