2007年09月30日

まるのすけ『ごうがいっ!』

 従姉妹である桑山ひよこの強引な勧誘によって新聞部に入ることになった「キイちゃん」こと園部輝一。
 その新聞部には敵対する「闇の新聞部」なる集団がいて、キイちゃんを部員として獲得するべくあの手この手で迫ってくるのでありました。
 二つの新聞部の抗争に巻き込まれてしまったキイちゃんですが、両新聞部ともかわいらしい女の子がいっぱいで――

 そんな感じで中学校の新聞部を舞台に展開するおっぱい鷲掴み漫画ほんのりエッチなラブコメであります。
 争いの仲裁に入ったらうっかりおっぱい掴んじゃったり、闇の新聞部からお色気攻撃で勧誘されたり。
 デフォルメが効いた丸っこい線のキャラ可愛らしいなあ。特に赤面した表情が何ともいえません。

 キャラも元気娘、ツンデレ、クール系無いペタ、眼鏡巨乳、小悪魔系ロリと色々属性持ちが揃っていて華やかであります。
 特にアクシデントでおっぱい掴まれまくりの闇の新聞部長・本郷遥が強気っぽいくせに根はとっても純情で可愛らしい。
 鷲掴みにされた責任を取ってもらうためにキイちゃんを捕まえようとするなんてなんてピュアなんでありましょうか。

 そんなラッキースケベが頻発するキイちゃんを中心に、可愛くも楽しく両新聞部の抗争はつづいているのでありました。
 物語的には1巻の短い尺の中で単なるハーレムものに止めず、一つの事件で綺麗にまとめた辺りが好印象であります。

 それにしても、制服が黒ストッキング標準装備のため、パンチラシーンも黒スト仕様になっている(一部キャラ除く)のがマニアックで素晴らしい。

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まるのすけ

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2007年09月29日

東雲太郎『キミキス various heroines』2巻

 2巻のヒロインは、サッカー好きの元気少女、咲野明日夏。さっぱりとした気性が魅力的であります。

 咲野さんのサッカーの練習に付き合うことで深まって行く主人公と咲野さんの仲。。
 そのキスはスポーツドリンクのストローの間接キスから始まります。
 やがてサッカーのコーチだけではなく、恋のコーチも始めるようになるのでありました。

 1巻の摩央姉は「疎遠になっていた幼なじみ」という、かつて親しかった相手と再び距離を縮める話でありました。そのため過去の親しさと現在の距離感が交錯して「いきなり膝小僧へのキス」などのアクロバティックな展開を生み出しておりました。

 それに対し咲野さんとの恋愛はまっとうに段階を踏んだお付き合い。
 自分の「女の子」に無頓着な咲野さんにドキドキしながら距離を詰めていく主人公と、段々自分の心のありように気づいて行く咲野さん、二人の関係がなんともこそばゆく描かれております。

 が、それで終わったら「キミキス」では無いのであります。

 サッカーで鍛えられたしなやかな足(スパッツ装備)、女の子であることに頓着しない動作が生み出すチラリズム、練習中の体の密着、スクール水着、アイスを舐める唇、どこをとっても描写が艶めかしいことこの上なし。何でこんなに色っぽいのか!

 そして極めつけは温泉の話。
 温泉の中で咲野さんの痛めた脚をマッサージしながら、やがてその脚に口づけ。ピクン、と反応する咲野さんの表情が色っぽい。
 そして温泉から上がって抱き合う二人。浴衣の裾を割って膝を入れてるとか、「れるん」「ビクン」「カクカク」といった擬音が何とも淫靡であります。
 これはもう凡百のエロ漫画よりもエロっちいと言っても過言ではありますまい。
 ――あとがきの下にある「枕」「フロアライト」があるイラストはやっぱりこのあとの展開なんでありましょうか。ドキドキ。

 そんな艶めかしい描写をたっぷり盛り込みながら、物語はあくまで甘やかでくすぐったいような純愛。どれも非常な高レベルで男の子向け恋愛モノとして一つの究極と言っても良いのではありますまいか。

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2007年09月28日

もみじ真魚『わさびアラモードっ!!』1巻

 大和撫子を求めて異国から日本にやってきた金髪少女のアオイ。
 宿泊先の旅館あけぼの屋の若女将・茜に一目惚れしてしまった彼女だが、茜は触れられると相撲技で相手を投げ飛ばしてしまうという困った体質。
 なんだかんだで茜のハートを射止めてあけぼの屋の女将の座に就いてしまったアオイ、彼女の大和撫子まみれの騒動の日々が始まるのでありました。

 スモウレスラーの技を使うちんまい女将や、スクール水着を着せられたくノ一、銭ゲバの双子巫女さん、乙女造り(女体盛りに非ず)など、間違った和風要素満載の女の子がたくさん登場するジャパネスク(?)コメディ。

 日本文化に微妙にズレていて、無駄に果断なアオイが大和撫子を翻弄しまくり、下着姿や温泉シーンといったサービスシーンが山盛り。可愛らしい女の子同士のうれしはずかしな触れ合いと、おバカなやりとりが楽しゅうございます。

 ――かと思えばおちんちんも登場したりするのでちょっと気が抜けません。

 基本的に欲望の赴くままおバカなことを繰り返すアオイ。たまに、何だか真っ当ないいこと言ってるようなこともありますが、よくよく考えてみるとやっぱりおバカなのでありました。ちょっと拙いアオイの日本語が可愛らしさとバカっぽさを醸し出しております。

 可愛らしい大和撫子(?)を、あけぼの屋全館挙げて愛でる様(とそれによって起こる騒動)をお楽しみ下さい。まあ、難しいことは考えずに。

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2007年09月27日

熊倉隆敏『もっけ』7巻

 アニメももうすぐ始まる「もっけ」も巻を重ねてもう7巻目。
 しかし、アニメは何だか不安になるキャラデザであります。
 動いたらまた違う、と思いたいところではありますが――。

 7巻には以下の5編を収録。

・「ソラバヤシ」
 静流の高校の外れにある山から聞こえてくるる音楽の怪。そこにある小屋に入り浸る音楽好きの女生徒と、楽しげに彼女に戯れるモノを見つけた静流は――

・「ヌッペッポウ」
 御崎さんの前に時折現れる肉塊のようなモノ。それを「可愛らしい」と評する静流に対して、御崎さんは「青白い屍肉に見える」と語る。御崎さんの過去が垣間見える一編。

・「テオイモノ」
 柔道の昇段試験を受けた瑞生。先輩の手加減によって合格となってしまったが、そのことに瑞生は納得できず――

・「ノデッポウ」
 高校で新しい友達が出来た静流。しかし、彼女に憑いて障りをなすモノを見てしまい、苦悩した末に自分が「見た」ということを彼女に伝えてしまう。

・「バケジゾウ」
  壊されたり盗まれたりしている地蔵を芙美とともに見て回ることになった瑞生。熱心に活動する芙美に従っていた瑞生だが、守られることも壊されることも別にどうでも良い、と語る地蔵の声を聞く。そんな中、その地蔵を盗もうとする不心得者が現れ――

 静流と同じ「モノが見える」という見鬼の才を持ちながら、その性格・物事のとらえ方は正反対な御崎さん。その峻険な性格から過去に何か原因があるとは思っておりましたが、想像していたのよりずっとハードな体験でありました。
 「ヌッペッポウ」でそのトラウマと向き合う機会が与えられましたが、「弱さを克服する」と、より孤高であることを選択した彼女。

 失敗・不幸の原因を自分の弱さに求め、それを他人との協力ではなく、あくまで自分自身の「個」としての完成・強さを追求することで克服しようとする御崎さん。
 ある種の気高ささえ感じられる御崎さんですが、その姿はどこか痛ましくもあります。そんな彼女の心静流はを開くことが出来るのでありましょうか。

 どうでも良いですが、自分はこの御崎さんのようなタイプの女性キャラにとても弱いなあ……。

 静流と瑞生、仲の良かった姉妹は離れて生活するようになり、それぞれの人生の中で迷い、悩みながら生きております。大人でもない、子供でもない、そんな「境界」にある悩み多き年頃だからこそ、「妖怪」が登場してくるのでありましょう。

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熊倉 隆敏

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2007年09月26日

勇人『はなまる幼稚園』2巻

 うーむ。
 やはり園児達の愛らしさに思わず頬がゆるんでしまう作品であります。

 というわけで、新キャラがたくさん登場する第二巻。
 杏のお母さんで土田先生の高校時代の先輩でもある桜さんや、土田先生の妹で黒髪ロング・ツンデレブラコンのさつき、山本先生の妹の真弓と、園児以外の女性陣が大充実。
 山本先生に続いて桜ママもおっぱい大きいので園児達だけでは満足できなかった人たちも安心。山本先生のスカートめくりもあるよ!

 いやまあ、それはそれとして。

 園児達も、先生達も、大人達もみんな優しげで、ほっこりする話であります。あとは各所でほのかな恋愛感情がかいま見えていたり。土田先生が桜さんに対して抱く微妙な感情とか。
 巻末には書下ろしも収録。杏達の大人になった姿が再び拝めます。

 しかし桜さんの結婚に至る事態って、現実だと合意の上でも色々アウトだよなあ、とかも思ったり。

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勇人

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2007年09月24日

安永知澄『わたしたちの好きなもの』

『やさしいからだ』で肉体感覚を通じて爽やかに、且つどこかエロティックな瑞々しい作品群を描いた安永知澄が、今作では原作に河井克夫、上野顕太郎、しりあがり寿をらを迎えて放つ異色のコラボレーション短編集。

 帯には

 「ここに漫画の新しい可能性がある」のか、それとも、「おっさん達が若い娘をもてあそんでる」だけなのか。

 とありますが、いや全くその通りで、自分の作風とは全く異なる個性の強い三人から提示された原作を安永知澄が如何に自分の作品として描き上げたか、という非常に実験的要素の強い作品集であります。

 収録されているのは以下の4編。

「わたしたちのすきなもの」(原作:河井克夫)
 父親と二人で暮らす少女。彼女が好きになった男性はなぜか皆行方不明になってしまう。その原因というのは――

 少女の恋愛とそれを見守る父親という構図をもの凄いトリッキーに描いていてちょっと凄い。ダメ男に依存してしまった後の少女の心情描写がまた巧いですなあ。

「ちぬちぬとふる」(原作:上野顕太郎)
 世界から隔絶された施設で育った少年少女。そこで博士が企てる「実験」とは何か――

 ウエケン節全開の巨大な労力を費やして下らない事をやる系のネタ。
 安永知澄の画でこれをやられるとまた別の面白さがあります。それにしてもバカだなあ(褒め言葉)。

「カノン」(原作:上野顕太郎)
 引っ越しの際に見つけたパッヘルベルのカノンのCD。そこから呼び起こされる少女の胸を痛めた記憶。
 自分より大きな存在が見せる「弱さ」に対する戸惑いと拒絶。幼い日の言葉に出来ない痛々しい思い出を切なくなる筆致で描いております。
 個人的にはこれが収録作品中で一番好きです。

「なぎ」(原作:しりあがり寿)
 生まれた娘は17歳になると行方不明になるか死ぬと、いう言い伝えのある家の少女・なぎ。17歳の誕生日を前にして、彼女の体に変化が――

 怪奇・伝奇モノかと思いきやちょっと想像できないオチをつけてきた作品。前半の重さと、ラストのバカバカしさのギャップが面白い一作。


 というわけで、どれも全くタイプの異なる話で、こんなバラエティに富んだネタ振りをされてもきっちりと自分の作品として仕上げている安永知澄の力量は大変に素晴らしい。この企画自体、無茶やってるなあ感がありますが、試みとしては非常に面白かったと思います。
この難題をこなした安永知澄が次の作品で何を書いてくるか実に楽しみです。

 この作品単体としては、安永知澄の既刊の作品を読んでいる人間には非常に興味深い一冊ですが、未読の人にはこの企画のスゴさが伝わりにくいかもしれません。未読の方は是非『やさしいからだ』『あのころ、白く溶けてく』を読んでから本作を読むことをオススメします。

わたしたちの好きなもの (BEAM COMIX)わたしたちの好きなもの (BEAM COMIX)
安永 知澄/河井 克夫/上野 顕太郎/しりあがり 寿

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2007年09月23日

藤田和日郎『黒博物館 スプリンガルド』

 燃えるような目をして、口からは火を吐き、人とは思えない跳躍力で19世紀のロンドンの街を跳梁して人々を騒がせた「バネ足ジャック」。しかし、彼が行うのは「女性を驚かせる」ことだけで、それ以上のことはしなかった。そんなバネ足ジャックであったが、スコットランドヤードによる必死の捜査にも関わらず、正体不明のままある日を境に忽然と姿を消してしまう。

 しかし、その謎の失踪から3年後、「バネ足ジャック」は恐ろしい連続殺人鬼としてロンドンの街に再び姿を現したのであった。
 彼を追うロッケンフィールド警部は、3年前のバネ足ジャックの正体と目されるストレイド卿に面会を申し込む。

 「悪戯」はしたが強盗や殺人といった「犯罪」は犯さなかったバネ足ジャックは、なぜ三年の時を経て殺人鬼となってしまったのか。

 イギリスの「バネ足ジャック」伝説を下敷きにして藤田和日郎が描く怪奇と浪漫と愛とが詰まった熱きゴシック活劇。
 物語は、スコットランドヤードにあるというあらゆる犯罪の資料を集めた「黒博物館」を訪れた男が、展示されたバネ足ジャックの足を見ながら底の学芸員に「バネ足ジャック」事件の真相を語る、という形を採っております。

 物語の核となるのはバネ足ジャック=ストレイド卿。放蕩貴族っぷり全開で騒ぎを起こしていた彼ですが、一人の娘との出会いが彼を変化させ、「悪戯」を止めるきっかけに。無茶をやっているストレイド卿なのに彼女に対する純情っぷりが滑稽でもあり、またほろ苦くもあります。ストレイド卿、実に良いキャラです。

 そんなストレイド卿に向けられたある男の歪んだ執着が殺人鬼・バネ足ジャックを誕生させ、その偽ジャックと真ジャックが対決。表に出せない秘めたる恋のための戦いが、歪んだ愛情と純粋な愛、しかし公にできない二つの愛のぶつかり合いが、異形のバネ足ジャック同士の戦いとして描かれている様は圧巻。
 戦いの前、中で結婚式が行われている教会をバックにバネ足ジャックが行く手を遮り
「ここから先は敬虔で善良なる者以外立ち入り禁止だ
 ……オレ達は入れない」
 という場面など弥が上にも期待が高まります。

 その戦いの後、花嫁を見送ったバネ足ジャック。素顔で見送った後、壊れた仮面を再びかぶっての台詞がまた切なく、そして格好良い。ストレイド卿の美学によるやせ我慢と、事件の顛末を一緒に見た警部のさりげない労りが泣かせます。


 そして外伝である「黒博物館 スプリンガルド異聞 マザア・グウス」も収録。
 こちらは完全無欠のボーイミーツガール・藤田味。
 やんちゃな少女と、ちょっと大人しめの少年がバネ足ジャックの衣装を使ってロリコン変態教授と対決。そしておいしいところを持って行くストレイド卿。
 催眠術を悪用して少女の裸体写真を撮りまくる教授のビジュアルが文系悪党であるのに藤田イズム全開で大変素晴らしいと思いました。

黒博物館スプリンガルド (モーニングKC)黒博物館スプリンガルド (モーニングKC)
藤田 和日郎

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2007年09月22日

原作:京極夏彦 作画:樋口彰彦『ルー=ガルー』1巻

 京極夏彦の異色作のコミカライズ。
 妖怪モノではなく、SFモノ。

 「パイド・パイパー」と名付けられた疫病災害によって人類は壊滅し、その後に高度なネットワークが構築され、「端末」によって人間が保護・統制されている管理社会。
 そこで人々は「端末」を介したコミュニケーションを行い、直接的な人間同士の接触の機会は減り、人間以外の動物の存在さえ希で、食物さえも人造食品に置き換っており、人々は「リアル」な生命の感触から遠ざかっている。
 そんな社会の中で起きる連続殺人事件に関わった少女達の物語であります。

 他人に触れたり精神が不安定になると鼻血が出てしまうという「接触型コミュニケーション障害」の少女・牧野葉月。ボーイッシュな容姿とクールな性格にミステリアスな雰囲気を湛えた神埜歩未。14歳にして博士課程まで修了している天才少女で悪童系元気娘の都築美緒。
 この個性豊かな3人を中心に、ゴスロリ衣装に身を包んだ占術少女・作倉雛子や、矢部祐子、麗猫といった少女達が絡みながら、殺人者「ルー=ガルー」と、「生命」を巡る物語が展開していきます。

 原作からのコミカライズに際してキャラクターに加えられたアレンジもあって、登場する少女達は皆、実に魅力的に描かれております。
 最初は自分の体質に引け目を感じていた葉月がだんだんと鼻血を出しながらも強い意志で前を見据えるようになっていく姿、美緒が見せる悪戯な笑顔、心の底に何か強いモノを秘めている歩未、漫画ならではの表現で原作とはまたひと味違う魅力を醸し出しています。何でもない場面でも少女達の表情、しぐさがまた可愛らしいのも非常にポイント高いです。

 原作に飲み込まれておらず、且つ原作を毀してもおらず、漫画であることのおもしろさを遺憾なく発揮しており、小説のコミカライズとして実に素晴らしい作品であると思います。

 この1巻で描かれているのは、まだ事件のほんのさわりの部分。
 この後数々の見せ場が待っていますのでそこをどう描いてくれるか非常に楽しみであります。
 美緒の大暴れや、京極節が炸裂する雛子の語りなどがどうなるか大注目。

ルー=ガルー 1 (1) (リュウコミックス)ルー=ガルー 1 (1) (リュウコミックス)
樋口 彰彦 京極 夏彦

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2007年09月21日

原作:横山光輝 脚本:今川泰宏 漫画:戸田泰成『ジャイアントロボ 地球の燃え尽きる日』

 ロボと大作の過去が語られた「誕生編」が終わり、梁山泊本部急襲の「白昼の残月編」が始まる第2巻。

 GR奪取に失敗したBF団、いよいよ十傑衆が本格的に動き出しますが、幻惑のセルバンテスに続く二番手は「白昼の残月」。ウラヌス、スフィンクス、ウラエヌスの三つの神体を使って世界各地で暴れ回ります。それを迎え撃つ国際警察連合。

 世界を滅ぼすというロボの力を巡って争うBF団と国際警察連合。この二つの組織の間で翻弄される大作少年。そして、彼は元九大天王の一人であり、ロボの秘密を握る豹子頭林冲と出会い、国際警察連合の本拠地である梁山泊へと足を踏み入れるのでありました――。
 そして、その梁山泊を急襲する白昼の残月。
 前門の九大天王、後門の十傑集。大作少年の運命や如何に!?


 いやー、濃い。素晴らしく濃い。
 十傑衆が濃い、九大天王が濃い、いちいちポーズが濃い、擬音が濃い、何もかもが濃くて読んでいるだけでお腹いっぱい胸いっぱい。ケレン味たっぷりの今川脚本と、濃いぃけれども勢いとかっこよさ抜群の戸田画の熱い融合。これでワクワクしない方が無理というものです。

 アルベルトのサリー召還、それに加えてGR2、GR3も登場! 絶体絶命のピンチか!? と思いきや何の説明も無く味方としてGR2・3を使役し始める大作少年や、無明幻妖斎が語る草間博士とのツッコミどころ満載のケンカの事情とか無駄にパワフル、無駄に勢いがあってとにかく読ませる作品であることは間違いありません。幻妖斎と草間博士、(あくまで幻妖斎視点からの話ですが)子供みたいな理由で世界を滅ぼしかけてます。

 そしてますます冴え渡る中条長官と韓信元帥のウザさ。「ごきげんようー!!」とか「やんややんや」とか。大作少年を翻弄する小悪党と化して、本当に良い味をだしております、この二人。

 OVAとは激しく異なる展開を見せておりますが、ロボと大作少年はあくまで狂言回しで、十傑衆と九大天王の濃いぃぃキャラ達の活躍がメインというのは共通しております。オヤジ達の勢いとインパクトとケレン味たっぷりの活躍は本当にたまりません。

ジャイアントロボ地球の燃え尽きる日 2 (2) (チャンピオンREDコミックス)ジャイアントロボ地球の燃え尽きる日 2 (2) (チャンピオンREDコミックス)
横山 光輝 今川 泰宏 戸田 泰成

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吉富昭仁『BLUE DROP』1巻

 突然現れた謎の美少女と、彼女に不自然なまでにSEXすることを要求される少年・ショータ。
 一週間以内に性交することを強制された二人ですが、色々と難しい問題が……。
 『EAT-MAN』の吉富昭仁が紡ぐ、倒錯した性に満ちたSFストーリー。

 というわけで、「チャンピオンRED」の三大おちんちん漫画の一つ(他の二つは「ヘクセンリッター」と「アキハバラ無法街」ということで)であるところの「BLUE DROP」がついに単行本化。
 性転換少年やら女装少年やら男同士・女同士のアレが満載で非常に倒錯度の高い作品であります。

 主人公の許に現れた美少女の正体は、地球を侵略している異星人"アルメ"によって女の子に改造されてしまった親友のケンゾーなのでしたが、体は男と女でも、元々同性である親友とのSEXに踏み切れないでいる二人。

 しかし、二人で子作りをしないとアルメに始末されてしまうワケで――と、お互いにドキドキしながらも最後の一線を踏み越えられない二人が描かれております。
 ここら辺の葛藤はTSモノの醍醐味の一つではありますが、あの手この手でショータをその気にさせようと誘惑するケンゾーがちと突き抜けております。

 「お前の好みの女が分からなかったから、俺の好みの女を演じるしかなかった」と語るケンゾー。その好みの女というのが、「自分の足の指をしゃぶる」であったり「自ら喉に指を突っ込んで吐く」だったりともの凄くマニアック。ドキドキするんだか、常人には何だかもうさっぱり分かりません。が、とにかく凄いマニアックな性癖だというのはイヤというほど伝わってきます。

 他にもアルメ達がハードにレズっていたり、アルメに女を奪われた地球の男達が男同士で絡み合っていたりと、アブノーマルな性がこれでもか、と描かれております。女装したショータがおちんちん弄られまくったり。

 兎に角、二人がSEXに及ぶために色々試みているうちに、幼なじみのコトコや、ショータを慕っていた後輩のシンイチらを巻き込んで、なぜかショータは女装してケンゾーとともに女子校に入学することになってしまいます。いやもう、色々カオスです。おつかれちんちーん。

 しかし、文明の発達の中で女性しか存在しなくなり、女同士で繁殖する術を得たアルメ、その自然な繁殖のために地球の男を使って実験を行っており、その犠牲者がケンゾーであるなどSF的背景はきちんと設定されております。1巻の時点ではあまりに変態的な性が横溢しているため、どうしてもそのインパクトのある方に目がいってしまいがちですがアルメ達の会話などから結構ハードなバックグラウンドがあることは読み取れます。この変態的性にまみれた展開からどう物語が展開していくか、非常に興味をそそられます。
 重要人物の死も描かれておりますし。

 しかし、まあ、雑誌連載を読んでいたときも、毎回そのマニアックさやインパクトに度肝を抜かれておりましたが、単行本でまとめて読むとその詰め込まれた倒錯っぷりにクラクラきます。うーん、素晴らしい。
 最初に「RED」誌上でこの作品を見たとき、あの吉富昭仁が?! と仰天したものですが、『EAT-MAN』でたまに挟まれていたギャグのノリとかを考えると、こういう素養のある人だったのだなあ、と納得したりも。

BLUE DROP-天使の僕ら 1 (1) (チャンピオンREDコミックス)BLUE DROP-天使の僕ら 1 (1) (チャンピオンREDコミックス)
吉富 昭仁

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2007年09月20日

「チャンピオンRED」2007年11月号

 今月号の付録は「聖痕のクェイサー」のまふゆフィギュア。温度によって色が変わるので、こすって熱くすると水着が透けます。「擦る」という行為は男にとって本能的な行為であるから仕方がない。そして男というのは全く馬鹿な生き物であることだなあ。

 さて。

ともぞカヲル「デッド・ソウル・リボルバー」
 心の闇によって悪魔化してしまった人間を処分する武装祓魔師の少女と、悪魔憑きに襲われて彼女と出会った少年の物語。ゴスロリ衣装に身を包んだ少女が銃をぶっ放すという今風の道具立てではあったり、おっぱいポロリのお色気があったりはしますが、他の濃いぃRED連載陣に比べるとやっぱり滋味というか印象の薄さは否めない感じであります。

山口貴由「シグルイ」
 伊良子清玄対牛又師範、ついに決着。
 鬼と化して必勝の場を作り上げた牛又ですが、紙一重の差で伊良子に敗北。その最期に「人」としての牛又を描くのが何とも哀しみを誘うのでありました。

八神健「どきどき魔女神判」
 小さくなって服の中に潜り込んで乳首につかまってみたり、もっと下の方で「湿ってる」とか「せまい」とか言ってみたりで一体何をやっているのか!
 興奮して吹いてしまったらアウトという神判の笛の名前が「カオリク・ローキ」だったりと大変にバカバカしくてステキであります。

戸田泰成「ジャイアントロボ 地球の燃え尽きる日」
 白昼の残月、梁山泊に侵入! 各地に出現していた神体は国際警察連合の戦力を分散させる陽動だったのだ! ……という割には主力中の主力であるところの九大天王全員が梁山泊に残っておりました。
 圧倒的な力を持っているハズの神体で攻撃を仕掛ける残月ですが、無明幻妖斎の前には全く歯が立たず。スフィンクスにギャグボールを噛ませてお手をさせるなど素晴らしく魅せてくれております。ケレン味たっぷりで登場した残月もあっさりといったん退場。いや、十分に濃いのですが幻妖斎の方が濃すぎて霞みます。
 そして次なる十傑衆「激動たるカワラザキ」登場。
 大作少年やロボを置いてけぼりにして、濃いぃオヤジ達の宴が続くのでありました。この素晴らしい濃さはちと余所では味わえません。

藤見泰高/カミムラ晋作「ベクター・ケース・ファイル」
 ボケちゃったおばあちゃんのために、思い出の味のハチミツを作るため素人判断で養蜂する女の子の話。基本的にいい話&虫知識のお話なのではありますが、蜂に刺されておっぱいポロリがあったり、ハチミツプレイが挿入されたりとマニアックにお色気が挿入されるこのノリがたまりません。

木々津克久「フランケン・ふらん」
 金持ちの娘の誕生祝いとして船上パーティに招かれたふらん。
 実は船で出された料理というのが娘の肉を使ったモノで――というカニバリズム全開のストーリー。残った死体の首を使って殺された娘の気持ちを確かめますが……いやー、ヒドい話だ。ヒドい話ではありますがこの無茶っぷりが逆に物語を明るくしていてて素晴らしい。
 そして単行本が11月に出るとのこと。やった!!

杉村麦太「アキハバラ無法街」
 前回のラストで登場したくるりを「おにいちゃん」と慕う凶暴な大女メイド・すだま。その正体は戦闘マシーンの複合強化猟兵なのでありました。
 戦うためだけに生まれた彼女に、他人になんと言われようと兄妹の情を以て接するくるりが彼女のプログラムに変化を起こし、最期にすだまは「人」の心を宿すのでありました。
 特異で倒錯した設定の中、王道のストーリー展開と迫力のアクションで魅せる魅せる。出てくる小物が秋葉原の「今」の旬なモノなのもポイント。

チャンピオン RED (レッド) 2007年 11月号 [雑誌]チャンピオン RED (レッド) 2007年 11月号 [雑誌]

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柴田ヨクサル『ハチワンダイバー』4巻

 斬野との「勝った方がアキバの受け師を自分のモノにする」という勝負に敗れた菅田は、凄まじい喪失感と悔しさの中、以前勝負をした二こ神と再会する。
 その二こ神と彼にかつて敗れたプロ棋士・海豚との鬼気迫る戦いを見せつけられ、菅田は二こ神の弟子となることを決意、二十四時間将棋漬けの過酷な修行が始まるのであった!

 そんなわけで、ハチワンダイバー・菅田の喪失から復活を描く第3巻。
 将棋でしか人生を歩めない男達の執念と気迫が詰まりまくっております。

 20年前に二こ神に敗れた一局が忘れられず、その敗北の「毒」がその後のプロとしての将棋に影響しつづけた海豚。「その毒を解毒しにきた」と語り、ホームレスとなった二こ神にプロとしてのプライドと将棋人生を賭けて再戦を挑む彼と、その勝負を受ける二こ神。
 そこで語られる二こ神の人生もまた将棋への狂おしいまでの執念によってきざまれてきたもの。将棋のみに集約される二つの人生のぶつかり合いが、「バチィ」「バチィ」と凄まじい音とスピードで指される見ているだけで圧迫されるような将棋として描かれております。
 直線的な大ゴマと巨大な文字、そして執念が込められた台詞群が生み出す尋常では迫力とスピード感。棋譜など分からなくてもその空気に飲み込まれてしまいます。

 そんな行き詰まるような勝負を描いている一方で、随所に挟まれる笑いがまた素晴らしい。ブリッジの姿勢で悪夢に魘される菅田とか、プロ棋士を目の前にして土手に正座して滑り落ちてしまう菅田とか、おっぱい揉んだ問題について菅田を問い詰める二こ神とか。
 「おっぱいを揉んだらお前は弱くなる」理論の、何かそれ一筋でやってきて他に男達の哀しさと滑稽さを表しながら同時に具えている素晴らしい説得力。
 おっぱいに触れて菅田の将棋の力は半分になったと断じる二こ神が、その力を元に戻してやるから「俺の弟子になれ」という言葉に対して、菅田の「イヤです」というノータイムにして力一杯の拒絶とか。

 そんなやりとりも、二こ神と海豚の凄まじい勝負を目にした後は「弟子になれ」という言葉に対して真摯に「ハイ」と答えるようになってしまう展開の心憎さに繋がっております。

 いやー。凄まじいテンションを保ったまま展開していく物語に全く目が離せません。間違いなく今最もアツい漫画のうちの一つでありましょう。

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2007年09月15日

この頃間違いが多くてアレです

 えーと、この頃記事に間違い・誤字が多くて我ながら反省しております。昨日の『喰いしん坊!』も満太郎を万太郎とか書いてるし、『ギャンブルフィッシュ』も中学校が舞台なのに「高校生」とか書いちゃってるし。
 いやホント、きちんと確認してなくてすいません。

 それはまあ、一つ反省としまして、この頃このblogを引っ越ししようかしら、などとぼんやり考えていたり。この頃seesaaが微妙な不具合を起こすことが多かったり、デザイン面で痒いところに手が届かなかったりというのが主な理由で。
 そのうち引っ越すかもしれませんが、その時はまァ、そういうことで。
 面倒になって引っ越さない可能性も大ですが。

 あと、このblogのタイトルは横溝正史『獄門島』の重要な台詞から採っているわけですが、それ知らない人が見たらギョっとするタイトルだったりするのかしら……、などと考えると改名もした方が良いのかしら、などと。

 そして、一応の連絡をば。明日からちと帰省するので更新が止まるかもしれません。

 そんなわけで、そのうちこのblogも何か変化が出るかもしれませんが、中身はそんなに変わらないので今後ともよろしくお願いします。
posted by 凡鳥 at 00:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月14日

土山しげる『喰いしん坊!』15巻

 ハンター錠二 VS 鳥飼の素麺勝負にも決着が付き、喰いワングランプリもいよいよ決勝。
 満太郎、錠二、西山、高丘の4人で争われる決勝の食材は"太巻き寿司"。
 正道の大喰いと邪道喰い、フードファイター達の誇りを賭けた戦いの幕が、今切って落とされた!

 4者とも最初はストロングスタイルで挑戦しておりますが、口内に貼り付いて大喰いを妨げる「海苔」を攻略するために、高丘桃子は一度寿司をバラしてラップで丸めて中に海苔を封じ込める戦法に。
 対する満太郎、錠二は霧吹きでしめらせてから切り分けて食べるという戦法が図らずも一致。
 一方、ただ黙々と、しかし他の3人よりも早く太巻きを食べていく西山の不気味な存在。

 ストーリーも佳境、数々の戦いを勝ち抜いてきた猛者4人のガチンコ対決。高丘桃子のやり方も邪道喰いという割には正道っぽい。
 むしろ「道具を使うことはTFFの趣旨には反するがこの場合致し方ない……!」と言いながら霧吹きを使う錠二さん達の方がまずいんじゃないでしょうか。勝つために趣旨に反する食べ方をするってそのまんま邪道喰いじゃないか!

 ――というその辺りのツッコミ入れやすさとか隙も、この作品の大きな魅力であります。

 それにしても、徹夜組まで登場する喰いワングランプリの人気は異常。
 それぞれのフードファイター達の人気っぷりも高くて、グラサンに二丁箸を装備したハンター錠二応援団の絵面とかとても素晴らしい。
 もう既にこの時点で「大喰いをエンターテイメントにする」というOKFFの目的は達成されているような気がします。

 そして、未だ底を見せぬ「外道喰い」の西山は一体どういう食べ方を見せてくれるのか。
 次巻が楽しみで仕方ありません。

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土山 しげる

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2007年09月13日

「コミックビーム」2007年10月号

森薫「エマ 番外編」
 今月はなんと4コマ。ターシャ、ハンス、グレイス、スティーブンスの4人を主役にそれぞれの日常生活のひとコマを描いております。
 間の取り方とか、オトし方とか、本当に森薫は何をやっても達者ですなあ。スティーブンスの最後の話の余韻とかすごくいいなあ。

タイム涼介「アベックパンチ」
 以前にイサキに声をかけていたヒイラギさんが再接近。それに対して不器用にも程がある気の遣い方をするヒラマサ。互いに鈍感な男女が微妙にすれ違っている様が面白くもあり、ちょっと苦くもあり。
 そしていよいよジムではヒラマサのパートナーとなりそうな女性が登場。なんとヒラマサよりもデカい外人女性。またしてもデリカシーのなさ過ぎる言葉を飛ばしたヒラマサを殴り飛ばした彼女と、喜んで受け入れるヒラマサ。
 いよいよ「女性」の話が物語の中にも本格的に入ってきて、物語はますます面白くなってきました。

入江亜季「群青学舎」
 山賊にさらわれた異国の姫・待宵姫と、その山賊のボスの話の第2回。
 牢から出されてやっと外を出歩けるようになった姫。収穫期の中慌ただしく働く人々を見たり、その人達から声をかけられたりで、今までの生活とは全く異なる世界があることを知ることに。
 ただ他国に嫁ぐために従順に王宮の奥で従順に生きることのみを教えられて生きてきた姫が、これから先どうなるのか。
 姫が初めて触れる世界の瑞々しさを描く筆致が素晴らしいなあ。
 未来に対する不安と、過去を顧みての虚無感から姫の焦りみたいなものも伝わってきて、ああ、やっぱりこの人はとんでもなく巧いなぁ、と再確認。

カイトモアキ「脅迫姫」
 銀行の金を横領した支店長と、彼を脅迫しながらも彼に想いを寄せている女。
 金を餌に自分を見ることを促す女と、社会的身分と金にばかり目がいく男。
 そんな彼の姿を見て彼女が取った行動は――
 カイトモアキの描く愛の形はいつもひん曲がっていながらとても純粋でいいなあ、と思うのです。濃い絵柄もまたインパクトがあって実に良い。
 単行本、出ないかなあ。

宮田紘次「うたたね姫」
 おお、第二回目が掲載されるとは!
 お風呂で眠ってしまった女の子。現実と溶け合いながら次々と切り替わっていく夢が不思議な感覚で読ませます。
 準備中の「音」に関する新作というのも楽しみ。

コミックビーム 2007年 10月号 [雑誌]コミックビーム 2007年 10月号 [雑誌]

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2007年09月12日

小箱とたん『スコアブック 小箱とたん作品集』

 2人しかいない野球部にマネージャーとしてやってきた女の子・本間九州子(くすこ)。
 私を雇えば5人の部員を集めてきてやる! と宣言した彼女が連れているのはウシ・ニワトリ・ネコ・ウサギ・カメの動物たち。
 そんな頓狂なマネージャーと野球部員と動物たちが甲子園を目指して迷走するコメディ漫画。

 甲子園を目指す! と言っておりますが、部員の過半数が動物である時点でまっとうに野球をするワケもなく。野球漫画の皮をかぶった――いや、かぶることすら放棄して明後日の方向へ駆けていくのでありました。
 目指せ「仔牛園」。

 頓狂な持論とテンションで暴走していく九州子さん。
 動物好きの九州子さん。
 ウシのためなら何でもやっちゃう九州子さん。
 そんな九州子さんに引っ張られて甲子園の道を逆送していく部員達。そして野球漫画であることを放棄して珍妙な動物と変人が跋扈し始める作品。
 ああ、小さい頃はあんなに可愛かったのに変人になってしまった九州子さん。でも動物好きであるのはかわいいなあ。

 『スケッチブック』ではトーンを抑えめで、いわば「静」のギャグを描いているのに対し、この作品では徹底的にテンション上がりっぱなしの「動」のギャグを描いております。
 全体的にむちゃくちゃなことをやっておりますが、そのむちゃくちゃさ加減を九州子さんのキャラが全て受け止めている感じ。なかなかよそには無いテンションのキャラクターであります。

 しかし、「小箱とたん作品集」とあるからてっきり短編集とか、2つ3つの短編が収められているのかと思いましたが、ほぼ全部「スコアブック」で、1編の「スケッチブック」おまけ漫画が収めてある、という体裁なのでした。
 スケッチブックがリアルっぽいの中にある「変」を描く作品としたら、こちらは徹頭徹尾「変」なモノを描く作品といった印象であります。

スコアブック~小箱とたん作品集~ (BLADE COMICS)スコアブック~小箱とたん作品集~ (BLADE COMICS)
小箱とたん

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2007年09月10日

「コミックREX」2007年10月号

武梨えり「かんなぎ」
 曰くありげな幼女みゅうと、その正体を探ることに躍起になるざんげちゃん。微妙に何か隠しているっぽい汐見市の人々の中で、やっぱりのほほんとしている一行。「ワダツミの岩戸」なる場所に呼び出されたざんげちゃんと仁ですが――
 シリアスと脱力が混じり合う展開がまた微妙にこの作品らしいなあ、と。
 みゅうの呼び出しの文章のアンバランスっぷりがステキだと思いました。

高遠るい「シンシア ザ ミッション」
 謎の格闘家ノワールX、いざリングへ! と思ったら突然現れたコワい人にやられてしまいました。脳みそ飛び散ってます。
 この無茶っぷりとグロ描写がこの作品の持ち味でありましょう。
 いやまあ、好き嫌い分かれると思いますが。

小竹田貴弘「怪異いかさま博覧亭」
 若かりし頃の榊と、四ツ目屋(大人のおもちゃ屋)を営む杉忠のエピソード。今回は「むじな」が題材。妖怪をとらえて薬にする杉忠と、その場面に立ち会った榊。かつての榊の行動が杉忠に今日まで影響を与えておりました、という。二人の素直じゃない友情関係っていいなあ、と。

染谷カイコ「かみあり」
 前に読みきりとして掲載された作品の続き。
 神さまの集まる出雲で、関西からやってきた少女・サチが神さま相手にツッコミを入れるコメディ。
 今回登場の神さまはビリケンさんと、弁財天。
 縁切りの神としての弁財天を、夫より仕事が出来るキャリアウーマン風にアレンジして描いており、ハイテンションな弁天と、べたべたなツッコミを入れるサチの掛け合いが楽しい。オチのバカバカしさも好き。
 これは是非とも連載化して欲しいなあ。

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2007年09月09日

COCO『今日の早川さん』

 個人blogで連載中の作品がネタにされている早川書房から書籍化。

 SF者で非モテ系の早川さん、ホラーマニアでちょっと黒めの帆掛さん、純文学読みの年増眼鏡の岩波さん、ライトノベル読者で見た目ロリ系の富士見さん、レア本好きで本人もレアキャラの国生さんという版元の特性をモチーフにした本マニア5人の本ネタまみれのおたく的日常を描いております。
(帆掛さんは創元推理文庫のジャンルマークの一つ帆船、国生さんは国書刊行会が元ネタ)
 「早川さん」なだけに、SFネタ多めではありますが、SFの素養は全くといって良いほど無い私でも十分理解できるレベルのネタなのでその辺は安心。

 本好きのおたくとしての彼女達の生態に、「こういう事ってあるよなあ」感が非常にくすぐられます。

 非おたくが自分の好きな分野について語っているときのツッコミを入れたくなる感覚とか、おたくの同士の知識レベルによる力関係とか、肥大してもてあまし気味の自意識とか、そういうおたくのどうしようもない業。その因業っぷりを、同類のおたくの視線から自嘲気味に、しかし愛を持って描いていおり、我が身を顧みて、ああ、そうだよなあと笑いがこぼれます。

 しかし、あるある感溢れる5人のやりとりから改めて感じましたが、ジャンルの近いおたく同士のコミニュケーションって、基本的には常に知識のレベルを問う隠微な勝負だなあ、と。
 仲が良くても、常に自分の知識はこれこれこうである、と相手に知らしめずにはおけないという。相手に通じること前提で仕掛けるマニアックなネタも通じればそれで良し、通じなければ勝ち的な。
 そこら辺のアレな業も描写しつつも嫌みになってない辺りは流石でありましょう。

 それにしても登場する4人の文学女子達のもっさり感ある可愛らしさは素晴らしいと思います。

今日の早川さん今日の早川さん
coco

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posted by 凡鳥 at 23:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 漫画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月08日

原作:青山広美 作画:山根和俊『GAMBLE FISH』2巻

 ギャンブラー・白鷺吐夢VSマジシャン・月夜野由香のブラックジャック勝負。
 自在にカードを操る月夜野の前に連敗を重ねる吐夢だが、勝負に対する自信を一切崩さない。
 持ち金を全て賭けた最後の勝負にも敗れ、もはや完全敗北かと思われたとき、バッグからチェーンソーを取り出し、「この指を賭ける」と宣言する。
 流血のバトル、勝利の女神、いやギャンブルの悪魔はどちらに微笑むのか――!

 素晴らしい展開であります。
 スッカラカンになって指を賭けると言い出すだけでも高校生にあるまじき度胸ですが、その切断の道具にナイフや刀ではなく、チェーンソーというダイナミックなものを持ち出すチョイスが素晴らしい。
 そのチェーンソーをノリノリで振り回す阿鼻谷先生のはしゃぎっぷりがまたステキ。笑顔もリアクションもいちいち素晴らしすぎます、阿鼻谷先生。

 「アビィッ!!!!」

 というかけ声とともに躊躇無くチェーンソーを振り下ろす阿鼻谷先生、吹っ飛ぶ指、血まみれになりながらも更に指二本を賭けてギャンブル続行を宣言する吐夢。
 鬼気迫る展開であります。何やってるんだ高校生。間違えました中学生(9/10訂正)。

 そんなツッコミを入れつつも、「勝負」の駆け引きの熱さとキャラのアクの強さでどんどん物語に引き込んでいく力は本当に素晴らしい。

 月夜野と吐夢の決着後、吐夢の阿鼻谷に対する挑発後

「いいともッ!!! 貴様の脳ミソが何色かの勝負はどうだッ!!?」(チェーンソーを振りかぶりながら)
「やってみろよハゲ!!!」(
「吐夢ーーッ!!!」(ギャラリー必死)
「お待ちなさいッ!!!」(花効果とともに麗華お嬢様登場)

 というスピード感とパワー溢れる展開など心の底から素晴らしいと思います。
 1巻の時も面白かったですが、この2巻で急激にいハッタリと勢いが増し、素晴らしくエンターテイメントの度合いが上がっております。
 今から3巻の発売が待ち遠しくてなりません。

GAMBLE FISH 2 (2) (少年チャンピオン・コミックス)GAMBLE FISH 2 (2) (少年チャンピオン・コミックス)
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posted by 凡鳥 at 15:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 漫画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月06日

ぢたま某『Kiss×sis』1巻

 血の繋がらない双子の姉と一緒に暮らしている圭太。
 二人の姉、あことりこは圭太にぞっこんラブラブであり、朝からベロチューでクチュクチュしてたり、下着姿で迫ったりしているのでありました。
 中学三年生、高校受験を目前に控えながら、そんな二人の姉のラブラブで果敢なアタックの前に圭太はどうなってしまうのでありましょうか。

 いきなり湿潤な擬音満載で始まるラブラブでエロエロな物語。
 圭太とあこ・りこ姉妹は姉弟ではありますが血が繋がっておりませんし、両親も姉妹と圭太の関係を「ガンガン行きなさい」と煽るという「家族内恋愛」のタブーを止めるものがない状態。太ただ一人が家族であることを理由に踏ん張っておりますが、姉妹の積極的なアタックの前にやはり多感な年頃の男として反応してしまったりドキドキしてしまったりするのでありました。

 というように、姉弟の恋愛というとインモラルで陰のある話という印象がありがちですが、この物語はその辺の禁忌をあっさり乗り越え、明るくラブく、且つエロ全開で突っ走っております。
 エロいといっても、現在のところディープキスとか、膝の上にお姉ちゃん乗っけて乳首を弄くる程度で、行為には及ばないのですが。
 でも、むしろその方がエロっちいのです。

 あこは明るくて積極的、りこはクールで積極的、性格の違いはありつつも双子であるが故にやっぱり似ている二人。二人のアプローチのかけ方の違いが展開にメリハリと変化を与えております。
 恋のライバルで、圭太を巡って色々ありますが、双子なのでやっぱり仲が良かったり。そこら辺も徹底して影のない明るい作りとなっております。

 家族だぞ、姉だぞ、と最初は倫理観で抵抗していた圭太ですが、話が進むにつれ、二人と同じ高校に行くために必死に受験勉強を始めたり(その勉強自体がエロフラグなわけですが)、徐々に「家族」から「女性」へと視点が変化していく様が描かれています。また、今は弟ラブな二人も、その視点が弟から一人の「男の子」に転じる契機が描かれていたりと、その辺はなかなかに丁寧な描写だったり。

 1巻で家族の重力を振り切り、男と女の視点を確立しつつある三人。これから先、物語は過激の度合いを増していきそうであります。

Kiss X sis 1 (1) (KCデラックス)Kiss X sis 1 (1) (KCデラックス)
ぢたま 某

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posted by 凡鳥 at 23:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 漫画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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