2007年05月08日

中嶋ちずな『いいなり! あいぶれーしょん』1巻

 空から降ってきた少女、雫石。
 彼女を保護した少年、コウキ。
 コウキが雫石の股間から垂れる汁を舐めると、コウキの右手と雫のアソコをつなぐ光の糸が発生。
 コウキが雫石の動きを操れるのに加えて、彼の右手の感覚と雫のアソコの感覚は直結し、雫石はいちいち感じまくってお漏らし(?)をしてしまうのでありました。
 何だか秘密を抱えているらしい雫を迎え、汁気と喘ぎ声に満ちた生活が始まる―――。
「恥ずかしくて赤ちゃんできちゃいそうです……」

 というわけで「ドラゴンエイジ」連載中の変態作がついにコミック化。
 成年コミックではないのにこんなに汁気が多くていいかしらん。
 どう考えたって尋常じゃありません、これは。
 概要を書いただけでもクラクラしてしまいます。

 股間と右手をつなぐ糸、その右手に出来た謎の石への刺激は雫石の性感に直結。
 ちょっと触っただけでビクビクと反応をして声を上げてしまう雫石。ちょっとでも強い刺激が加わろうものならお漏らしをしてしまうのであります。
 お漏らしって言うか、これは……もっとエロティックなナニかでありましょう。
 常にティッシュを大量消費している雫石が何というか、また……。

 そして普段はおとなしくて恥ずかしがり屋の雫石ですが、スイッチが入ると積極的なモードに。
 その落差から生じる一粒で二度美味しいエロス、羞恥と淫乱。

 いやまあ、汁気とか喘ぎ声とか下着とかあり得ないくらいのエロスを含んだ作品なのですが、なんでしょう、それらのエロスを上回る狂気というか変態性を強く感じます。
 「おもらし」と強弁してここまで淫猥な描写を一般紙で描きまくるその変態性にただただ圧倒されるばかりであります。
 いや全くこれは狂気に近い才能の業ですよ。素晴らしい。

いいなり!あいぶれーしょん (1)いいなり!あいぶれーしょん (1)
中嶋 ちずな

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2007年05月06日

京極夏彦『前巷説百物語』

 小股潜りの又市が、おぎんや治平、百介らと出会う前の話。
 浮き世のあらゆる損を補う損料屋「ゑんま屋」の仕事を請け負い、埋まらぬ損を世間に納得させる形で解決する又市とその仲間達の仕事を描く。
「怪」掲載された「寝太り」「周防の大蟇」「二口女」「かみなり」「山地乳」と、書き下ろしの「旧鼠」、計6編を収録。

 人の世の理ではどうにも埋まらぬ出来事を「怪異」を介することで世に納得させる、という後々の又市一味の仕事。そのひな形となる「前」での又市の仕事ですが、まだ若い又市の仕掛けなので成功はするものの粗が散見され、時には人死にも。その己の仕事と、そんな仕事をしなければならない世の中を省みて「人死にが出るのは納得いかねェ」と青い事をいう又市。その斜めに構えながらも青臭い又市のキャラが新鮮でもあり、同時に後のシリーズの仕事ぶりに繋がるものでもあり、大変魅力的に描かれております。

 最初は悪いヤツを懲らしめ、泣かされた人間を救ってやる的な仕事から始まり、徐々に江戸の町に潜む大きな影と対峙することに。その運びも時代物エンターテイメントの王道を堂々と行っております。
 が、悪が単なる悪ではなく、裏から見れば別の事情が見えたり、又市らのやっていることが必ずしも正しい結果を生むとは限らない辺りが、現実と又市の青臭い理想の間で疑問と悩みを生み出し、物語的に深みを生み出します。勿論、事件の経過・仕掛け・顛末を妖怪の性質や伝承と結びつけて落とす様は相変わらず見事ですのでお楽しみに。

 『巷説百物語』とそれに続く「続」「後」で見事な仕事ぶりを見せる又市。
 その又市の若かりし頃の仕事ぶりと、どういう経過を辿って御行姿となったか、そしてレギュラーキャラクターとの邂逅など、シリーズのファンには堪らない一作であります。未読の人は、この「前」から時系列に沿って読んでいくのもアリかもしれません。

前巷説百物語前巷説百物語
京極 夏彦

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2007年05月03日

河合克敏『とめはねっ!』1巻

 『帯をギュッとね!』『モンキーターン』の河合克敏の最新作は、なんと書道。

 主人公・大江縁は帰国子女のくせに茫洋として冴えない男。新入生歓迎のクラブ紹介で見た書道部の揮毫を見て書に興味を持ち、部室を訪れた所を半ば強制的に入部させられてしまう。
 その縁が淡い好意を寄せている女生徒・望月結希は柔道部の有望株。ひょんなことで縁に怪我を負わせてしまい、臨時部員として縁の穴をうめるべく書道部の仲間入りをする。

 書道、というと些か地味で静かな個人活動というイメージがありますが、個性豊かなキャラクター達が彩る物語は動きがあって実に楽しいのです。
 凛としていて真面目で責任感の強い結希。でもどこか隙があったり、字が下手なことにコンプレックスがあったりと可愛らしい面も持ち合わせております。かわいい顔して策謀家の三輪センパイや、強引で押しが強い加茂センパイといった脇役も実に良い味を出しており、物語をいい感じにかき回してくれております。

 書道そのものについてはズブの素人だけれど未だ発揮されぬ才能がある縁と、異分野の天才でありながらも徐々に書の魅力に目覚めていく結希。タイプの異なる二つの初心者が奥深い書の道を少しづつ進んで行くという修練と成長の要素。ともに同じ道を相手というライバルとの競争。そしてちょっぴりのラブコメ要素。
 青春エンターテイメントの要素をバランス良く含みつつ、書道という一風変わったテーマで包み込んだことにより他にない味わいの文化系青春漫画として成立しております。とても面白いなあ。

とめはねっ! 1 (1)とめはねっ! 1 (1)
河合 克敏

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2007年05月02日

地下沢中也『預言者ピッピ』1巻

 ヒューマノイドコンピューターのピッピと、彼の親友である少年・タミオ。
 地震予知のためにタミオと遊びながら、様々な情報を収集していくピッピ。
 その予知のために、多くの人々が災害から救われることになる。
 が、ある事故をきっかけにピッピは情報収集の制限を無くし、その情報ゆえに世界の全てを予知できる存在となる。
 全ての未来が計算しつくされた世界とは人間にとって幸福であるか否か―――。

 うーむ、これは思わず唸ってしまうくらいにちょっとすごい作品であります。

 大地震が起きる時間を正確に予知し、原因不明の難病の原因すらもいとも簡単に突き止めるピッピ。
 ピッピの「予言」に従い、常に「最善の選択」をし続けることが可能となった人間達。
 しかし、それは取りも直さず人間が選択の権利を喪い、ピッピが見据える終着点へと突き進んでいくことに他ならない。

 物語の冒頭で情報の集積による「予知」ということがよく分らずに、ピッピの言葉がそのまま実現する様子を見て「ピッピが考えたことが現実になる」と勘違いをしていたタミオ。
 そしてあまりにも正確な予知により人類全体がその錯覚に陥り、ピッピが一人の人間の最後に言及をしたとき、その言葉は不気味な影を伴って人々を覆い始めるのです。

 人間の行く末を全て見通し、その上で「人間を救いたい」となお語るピッピの言葉が意味するものは一体。
 「人類の全てを計算し尽くしちゃったんだ」という彼が見た人類の行き着く先とは。

 この続きが待ち遠しくてたまりませんが、雑誌に第一回が掲載されてからこの1巻発行まで8年、次は一体どのくらい待てというのでしょう。一日でも早く続きが読みたい、と強く思わせる一作。

預言者ピッピ 1 (1)預言者ピッピ 1 (1)
地下沢 中也

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2007年05月01日

石塚真一『岳』4巻

 山岳救助ボランティアを務める島崎三歩。彼の活動を通して描く山と命のドラマ、4巻目。
 遭難救助という命のギリギリの現場での話を描きながらも、義務感に駆られた熱血物でもなく、お涙頂戴の人情物でもなく、ヒューマンドラマを描きつつも、自然と生命とが対等なニュートラルな話として成立させているのがすごいなあ、と思うのです。

 この4巻に収められたエピソードの一つ「択一」は、同時に別の場所で起きた遭難事故の話。
 助けに行けるのはどちらか一つ、という状況の中で三歩が下した決断とは―――。

 三歩の決断により分けられた生と死があるわけですが、その決断に至る理由は実にシンプル。
 その決断に至る逡巡、決断の重さ、そんなものを全く表に出さずに遺された者と向かい合う三歩ですが、言葉を尽くすよりもそれは誠実で、山で喪われた命に対して悼む想いが伝わって来ます。

 山という美しくも厳しい世界でともすれば簡単に喪われる人の命。
 その命に対する三歩の優しさが実にいいのです。

岳 4 (4)岳 4 (4)
石塚 真一

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